指導者・取材者目線、一流選手は「何」を持っているのか?
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ワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)で連覇を目指した侍ジャパン。初優勝したベネズエラのパワーに屈してベスト8に終わったが、すぐにメジャーリーグの新シーズンが開幕する。
今オフ新たな日本の強打者たちがメジャーリーグへ移籍を決めたが、村上宗隆(ヤクルト→ホワイトソックス)と岡本和真(巨人→ブルージェイズ)は、いずれも、読売ジャイアンツ二軍監督の石井琢朗の教え子だ。
石井の教え子は彼らだけではない。カブスの鈴木誠也、広島の菊池涼介、巨人の丸佳浩など、教え子には球界屈指の打撃力を誇る選手たちがずらりと並ぶ。
そんな名コーチから見た大打者の共通点とは何かーー。村上宗隆、鈴木誠也、菊池涼介の才能、どう育てたのか。
「プロの世界に入ってくる選手は素質がある」と語る一方、「それ以上に練習する才能もすごく大事」と石井は力説する。その理由とは?
若手育成に定評のある石井琢朗と、アマチュア野球を長年取材してきた菊地高弘とともに、一流選手が持っている才能について徹底議論。ぜひご覧ください!
選手に『足りないもの』を気づかせてあげることが大切
――(石井)琢朗さんはこれまで鈴木誠也選手や村上宗隆選手、菊池涼介選手など、多くの一流選手を見てこられましたが、彼らはどこの部分を気にして接することによって、トップの選手になれたのでしょうか。よく指導者の方は「自分が育てたわけじゃない」とおっしゃるので、それは前提として教えてください。
石井琢朗(以下、石井) はっきり言ってプロ野球の世界に入ってくる選手は、素質があるんです。何を、持っているかですよね。その選手に足りないものを気づかせてあげることが大切。
例えばカープの菊池涼介選手は、素晴らしい運動能力を持った選手なんですけど、どっちかというとテクニックはすごく優れてたものを持っていたけれど、土台の部分、基礎の部分が少し足りなかった。
鈴木誠也選手は、高卒から入ってきたんで土台作りからというところもあるんですけど、性格的な部分など、ある程度プロ向きなところはありました。
素質も才能ですが、僕は「練習する才能」も、すごく大事だと思っています。
鈴木選手は、こちらが言わなくても勝手に練習してた子なんで。村上宗隆選手は元々すごいポテンシャルでした。
――なるほど。
石井 みんな高校からプロに入ってきて最初に「ぶつかる壁」が、プロの変化球なんですよ。あれにある程度、面食らう。変化球に対応しなきゃで入ってきて。
でも本当に強いのは、真っすぐに打ち負けないそのスイング力っていうかスイングスピードだったり。そこなんですけれども、やっぱりあの変化球に対応しなくてはいけない。そうなってきて、真っすぐってとこが消えちゃうんですよね。
村上選手は、どちらかというと半速球に強かったけど、真っすぐはいまいち捉えきれなかったなかで高校から入ってきて。だから、そこですよね。
――ポテンシャルの生かし方を見ながら接していく。
石井 そうですね。ちなみに菊池選手は、ある程度グラブさばきやテクニックは持っていました。その時ちょうど私は、内野守備走塁コーチをやっていたんですけど、菊池選手にやっていたことは、ほぼほぼ基礎練習ばかりですね。
正面のゴロをしっかり股を割って捕る。土台から、基礎の部分をとにかく反復しました。元々持っているテクニックがすごいんで、そこにスキルが加わってきたところですね。
スポーツ界のトピックについて、スペシャリストを招きながら、その「次」を探る、新感覚スポーツ討論コンテンツです。
👇これまでの主なテーマとスペシャリスト👇
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特別編 名スカウトが明かす「阪神ドラフト秘話」
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プロに入ってくる選手は、エースで4番の選手が多い。そういう選手の方が大成しやすい……可能性を感じる
――(石井琢朗イズムの)三角形でいうと、テクニックの部分はあったけれど、基礎をもうちょっと鍛えれば上がれる。
石井 内野手で一番難しいのは、正面の打球です。距離が取れないんで。横の打球は程度距離取れるんですけど、正面の打球は、なかなか間合いが取りづらいんです。そこは菊池選手に限らずなんですけど。
――なるほど。
石井 体の線も細かったですし、年間を通して戦えるだけの体力などは見てたような気がします。
鈴木誠也は、ある程度プロ向きな性格を持っていたんで、「くそ!」と思いながら練習してた子です。やればやるほど伸びていったのは、鈴木誠也です。
――あのメンタリティもすごいですよね。言われて怒ったら「やめる」が普通じゃないですか、「もういいよ、こんなコーチとやってらんない」など。それが「よりやる」となる、あの思考。今も、よりやってますから。
ポストシーズンが終わった次の日ぐらいに取材で連絡したところ、「練習始まってるんで、もう大丈夫です」と言われまして。「日本に戻ったら挨拶回りで練習できなくなるから、今のうちにやんなきゃダメだから、今やってます」と言われたんです。すごいですよね。
石井 あのメンタルが、向こうで通用している要因だと思いますよ。もちろん力もあるんですけど。
――そこ、もうちょっとフォーカスした方がいいですよね、練習できる才能。どうですか、今の話伺ってみて。
菊地高弘(以下、菊地) 菊池涼介選手のエピソードを聞いて思い出したのが、源田壮亮選手の話です。これちょっと自慢入っちゃうんですが、源田選手が(愛知学院大から)ドラフト指名されたとき、西武ライオンズのドラフト3位で入ったんですけど。
僕は、パリーグの新人王を予想する番組に出演した際、源田選手を予想したんですよ。
本当に新人王取ったんですけど。ただ僕は1回、それを取り下げたいと思ったことがありました。キャンプ時に、新人の源田選手を取材に行ったんです。バリバリやるだろうなと思ったら、もうもう疲れきった表情で。「『プロの壁』に、ぶち当たっています」みたいな様子で。バッティングが打てないのは予想していたんですが、守備を直されていたんです。
当時の辻(発彦)監督や馬場(敏史)コーチに「お前は余計な動きがありすぎるから」と、先ほどの話に出た、股を割って正面のボールを捕るみたいなドリルを延々とやらされていました。
――なるほど。
菊地 馬場コーチに「源田選手は守備がうまい選手ですが…」という感じで聞こうとしたら、「そうなの?」と聞き返されちゃって。
僕は「即戦力だ」と甘い目で見てたのが、プロレベルで見るとまだ全然荒くて、やらなきゃいけないことがたくさんあるんだなと思ったんです。でも源田選手は、そこから2か月ぐらいで急ピッチで成長したんで、大活躍しましたけど。
――練習する才能もおありだったんですね。
菊地 西武の当時の打線がすごかったじゃないですか、山賊打線(※)。あんな中で打撃練習をしてると、自然と振れるようになるらしいです。
――そんなこと、あるものなんですか?
石井 いや、そうなると思いますよ。
フルバージョン「石井琢朗×菊地高弘が白熱議論!一流選手は何を持っているのか?大打者の共通点とは?」👇
前編 「ビッグスター・大谷翔平登場」で野球界はどう変わった?
中編 指導者・取材者目線!一流選手は「何」を持っている?
後編 消えゆく「昭和の練習」、指導者はどうなるべきか?
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