2025年12月21日、全日本選手権、女子FSでの坂本花織 写真/西村尚己/アフロスポーツ

2026年2月、イタリアで開幕するミラノ・コルティナオリンピック。

冬季オリンピックが開催されるたびに、日本でも花形競技の一つとして存在感を高めてきたフィギュアスケート。

日本人が世界のトップで戦うのが当たり前になっている現在、そこに至るまでには、長い年月にわたる、多くの人々の努力があった——

日本人がフィギュアスケート競技で初めて出場した1932年レークプラシッド大会から2022年北京大会までを振り返るとともに、選手たちを支えたプロフェッショナルの取材をまとめた電子書籍『日本のフィギュアスケート史 オリンピックを中心に辿る100年』(松原孝臣著/日本ビジネスプレス刊)が発売中。

今回は、北京大会で銀メダルを獲得したフィギュアスケート団体戦のルール、出場国、日本代表選手を紹介します。

 

団体戦は2月6日、アイスダンスRDから

 前回の北京オリンピックで、日本が銀メダルを獲得したフィギュアスケート団体戦(試合直後は銅メダルであったが、優勝したロシア(ロシアオリンピック委員会として参加)のドーピング違反により、のちに銀メダルに繰り上がった)。

 ふだんの大会では行われない種目であるため、どのように進むのか、あまり知られていない面もある。そこでその大枠の説明とともに、展望を記したい。

 出場するのは10か国。ランキング順に、アメリカ、日本、イタリア、カナダ、ジョージア、フランス、イギリス、韓国、中国、ポーランドだ。

 競技は次のような枠組みで行われる。

 大きくは予選と決勝に分かれており、予選では男子シングル、ペア、アイスダンス、女子シングルの選手がそれぞれのショートプログラム(アイスダンスはリズムダンス)を滑る。

 決勝には予選の上位5カ国だけが進める。それぞれの種目でフリースケーティング(アイスダンスはフリーダンス)を行う。

 チームの順位は合計ポイントによって決まる。

 各種目ごとに、順位に応じてポイントが付与される。そのポイントは1位10ポイント、2位9ポイント、3位8ポイント……と1つ順位が下がるごとに1ポイントずつ減っていき、10位だと1ポイントとなる。

 仮に4種目すべてで1位をとれば、40ポイントになる。

 そのため、何かしらの種目に突出した選手がいたとしても、他の種目で下位になればチームの順位は上向かない。その国のフィギュアスケートの、総合的な力を問われると言ってもいい。

 また、予選のポイントはそのまま引き継がれ、決勝のポイントと合わせて順位が決まる。

 予選と決勝とでは、個人戦で複数の選手が出場する権利を持っていれば、2つの種目までは異なる選手が出場することができる。団体戦はフィギュアスケートの中で最初に行われるだけに、個人戦への疲労などの影響を考慮して、予選と決勝で異なる選手を起用することは珍しくない。

 一方で、2018年平昌オリンピックで金メダルを獲得したカナダのようなケースもある。団体戦優勝という目標からメンバー構成を考えて、変更を1種目のみにしたのだ。このときはペアが団体戦でのフリーから中2日で個人戦のショートプログラムとすぐあとの実施だったが、メーガン・デュハメル/エリック・ラッドフォードが団体戦の予選と決勝両方に出場、ともに30代の2人は個人戦と合わせて1週間で4度演技を披露した。

 前回の北京からは、男子が団体戦のすぐあとの順番となった。日本は男子ショートプログラムに宇野昌磨、フリーに鍵山優真が出場した。また女子もショートプログラムに樋口新葉、フリーに坂本花織が出場と入れ替えている。

 そして、個人戦でひと組のみの出場だったペアとアイスダンスは、どちらも同じ選手が出場。ペアは三浦璃来/木原龍一がショートプログラムとフリーを、アイスダンスは小松原美里/小松原尊がリズムダンス、アイスダンスともに滑っている。

フィギュアスケートの五輪代表に決まった(前列左から)男子の三浦佳生、佐藤駿、鍵山優真、女子の坂本花織、中井亜美、千葉百音、(後列左から)ペアの木原龍一と三浦璃来、森口澄士と長岡柚奈、アイスダンスの吉田唄菜と森田真沙也 写真/アフロスポーツ

 今大会に出場する日本代表は、女子が坂本花織中井亜美千葉百音、男子は鍵山優真佐藤駿三浦佳生、ペアは三浦璃来/木原龍一長岡 柚奈/森口澄士、アイスダンスは吉田唄菜/森田真沙也(個人戦の出場枠は持っていないため吉田/森田は団体戦のみの出場となる)。

 ランキング的にはアメリカに次ぐ2位であるように、充実したメンバーがそろう。それだけに、吉田/森田が予選も決勝も滑るアイスダンスを除き、どのような布陣で挑むのか注目されるが、団体戦決勝から2日後に男子のショートプログラムが予定されている。その負担は大きい。個人戦との間隔を考慮し、男子は鍵山と佐藤の2名を分けて起用する可能性が高い。過去のパターンから行くとショートプログラムに鍵山、フリーに佐藤となる。

 となると、変更できるのはあと1種目。今回はペアも2組いるので予選と決勝で変更する余地はある。ペアと女子の編成をどうするのかという問題になるが、焦点の1つは三浦/木原にある。昨年12月の全日本選手権ではショートプログラムで三浦が脱臼、フリーは棄権をよぎなくされた。その回復具合もかかわってくる。

 それを考慮すれば、ペアを予選と決勝で変更し、これまで団体戦で分けていた女子を1人で担うことは十分考えられる。予想されるのは坂本だ。全日本選手権での演技が示すように、ショートプログラム、フリーともに安定して突出した力を持っていることも両方への起用が想定される理由だ。

 団体戦について坂本はこう話している。

「初めてオリンピックに出る選手も多いので、自分の特技の場を盛り上げることを生かすところかなと。オリンピックという舞台を楽しめるように場の雰囲気を明るくできたらなと思っています」

 主軸であるという自覚も心強い。

 団体戦では、応援席で選手が声援をおくる光景もみられる。そんな雰囲気も楽しみつつ、日本チームの活躍に期待したい。

フィギュアスケート団体戦スケジュール(日本時間)
2/6(金)
アイスダンスRD/ペアSP/女子SP
2/8(日)男子SP/アイスダンスFD
2/9(月)女子FS/ペアFS/男子FS

 

 

『日本のフィギュアスケート史 オリンピックを中心に辿る100年』
著者:松原孝臣
出版社:日本ビジネスプレス(SYNCHRONOUS BOOKS)
定価:1650円(税込)
発売日:2026年1月20日

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