街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。連載の詳細はこちら

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鈴木ジェロニモの「耳の音」#43「175で3桁体重はヤバい」
 

 

 ジョギングを再開。寒いから、という理由で数ヶ月ストップしていた。しかし身体がほどよいときの方が精神もほどよいんだよなと、かつての走っていた自分を羨ましがる日々だった。

 J-WAVE『GURU GURU!』というラジオ番組に出演したとき、生放送中に体重を測るくだりが発生して測ったら101kgだった。なんとなく自分は100㎏は超えないだろうと甘く見ていてぜんぜん超えた。体重計の針が101㎏を指した瞬間の感情は悲しみや驚きではなく、できんじゃん、という誇らしさだった。俺できんじゃん。101㎏いけんじゃん。

 鏡の前で服を脱ぐと全てを諦めた山のように全身の肉が外を志向していることが分かる。それはそれで勘弁してくれ、と思うのだけれど、101㎏という名前がつくと途端に輝いて見えてくる。この身体を飾ってほしい。キャプションに101㎏と書いてほしい。体のどうしようもなさ。それはこの世界のどうしようもなさを受肉した可能性すらある。私という世界。101㎏。心臓の先で光るペンダントのようにその数字は私を内側からあたためる。

 101㎏判明回がGURU GURU!公式YouTubeにアップされる。メインナビゲーターのおふたりの人気のおかげですぐにずだだだっとコメントが付く。まるで私が求められているみたいに嬉しくなって、コメントを開く。

「ジェロ、俺もだけど、175で3桁体重はヤバい。99㎏まで痩せよう。」。おう。なんか、そうだよな、って気持ちになって、店じまいで片付けられる暖簾のように視界がすっと冷える。ジョギング行くかー。私のジョギングはそうして再び始まった。...