街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。連載の詳細はこちら

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鈴木ジェロニモの「耳の音」#42「首のところがテカついてんだよ」

 

 kanekoayano武道館。途中でトイレに行きたくならないように会場に着く前に団子を食べる。透明なパックに三本。一串に三つの団子が刺さっていて、それによって生まれる凹凸を無しにするようにあんこがぺたーっと乗っている。パックから一本をつまんでこぱっと持ち上げると、しとっ、と重い。団子が協力して背中で平らなあんこを運んでいるような大切さが指の先でしなる。

 風が強かった。串を一本持ち上げるごとにそのまま串一本分軽くなる透明なパック。二本平らげて残り串一本を抱えたパックはパックそのものの重さに近づいて、九段下の冬の風にぱたぱたはためき出す。石の、一応座ることを想定されているであろう平面に腰掛けて、ぱたぱた。ぱたぱた。きっと同じようにkanekoayanoを見に来ているであろう周辺の人たちに、なんですか、と見られているような気がする。吠え出した飼い犬のリードをやめなさい、きっ、と引っ張るように、透明なパックをむぐっと握り直す。...