名もない貴族と道長と、どちらが幸せだったのか
第一人者が描く平安時代、貴族たちのリアルな姿
大河ドラマ「光る君へ」時代考証をつとめた著者が、正史に載せられた「薨卒伝(こうそつでん)」と呼ばれる個人の伝記を紐解き、出世だけではない官人たちの豊かな人生を紹介、千年の時を経ても変わらない人間の本質を描き出す。
「薨卒伝」とは、日本の正史である六国史において、五位以上の貴族に載せられる死亡記事のこと。簡単な故人の来歴を記すだけのことが多いものの、面白い内容のものもあり、何よりそれぞれの官人の生きる姿勢がよく表われています。
前書『平安貴族列伝』で扱った『日本後紀』『続日本後紀』につづき、本書では、六国史の五番目の『日本文徳天皇実録』と六番目の『日本三代実録』に載せられた薨卒伝から、藤原氏などの有名貴族からあまり知られていない人物まで印象深い人々を厳選。現代語訳や系図を示し、経歴や時代背景を含めて、わかりやすく解説します。
北家でも出世が叶わなかった藤原氏の官人はどのように生き延びたのか? 苦労の多かった皇親氏族から異例の出世を遂げた渡来系氏族、医療技術や絵画、琵琶、琴など芸術に秀でたもの、さまざまな伝説が残る小野篁、在原業平の実像など、多種多様な官人たちが登場します。
*43人の多彩な貴族たち*
【藤原長良】出世を抜かれても恨まない、藤原北家を救った稀有な人格
【藤原春津】出世を期待されながら欲がなかった藤原式家の官人
【小野篁】遣唐使乗船拒否…さまざまな伝説が残る男の真実
【在原業平】決して不遇ではなかった「恋の王者」の意外な実像
【坂上当道】軍事貴族として活躍した坂上田村麻呂の子孫
【大江音人】学者や歌人を輩出した大江氏の主流となった官人
JBpressでの連載『平安貴族列伝』の後半をまとめたものになりますが、書き下ろし2編を加えており、連載を読まれた方も楽しめると思います。
ぜひご一読くださいませ。

『続 平安貴族列伝』
著者:倉本一宏(歴史学者)
出版社:日本ビジネスプレス(SYNCHRONOUS BOOKS)
定価:1870円(税込)
発売日:2025年12月17日
