続 平安貴族列伝

出版社:日本ビジネスプレス(SYNCHRONOUS BOOKS)

1870円

発売日:2025.12.17

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倉本一宏

続 平安貴族列伝

「この本で取りあげた貴族たちは、ほとんど権力に近付くことなく、中級官人で終わっているが、中には痛快な人生を全うした人も多くいる(本人たちはもっと出世したかったのかもしれないが)。それら名もない貴族と道長と、どちらが人間として幸せだったかは、いちがいに決められない問題である。そしてその人たちの人生をたどることは、それを読む我々の 生き方を考えるヒントにもなるであろう。」(倉本一宏・著者)

NHK大河ドラマ「光る君へ」時代考証を担当した著者最新刊。

藤原氏、小野篁、在原業平…正史で紐解く平安貴族43人の実像

日本の正史である六国史に載せられた個人の伝記「薨卒伝(こうそつでん)」

前書『平安貴族列伝』で扱った『日本後紀』『続日本後紀』につづき、本書では、六国史の五番目の『日本文徳天皇実録』と六番目の『日本三代実録』に載せられた薨卒伝から、藤原氏などの有名貴族からあまり知られていない人物まで印象深い人々を厳選。

北家でも出世が叶わなかった藤原氏の官人はどのように生き延びたのか? 苦労の多かった皇親氏族から異例の出世を遂げた渡来系氏族、医療技術や絵画、琵琶、琴など芸術に秀でたもの、さまざまな伝説が残る小野篁、在原業平の実像など、多種多様な官人たちが登場。平安貴族たちのリアルな姿とともに、千年の時を経ても変わらない人間の本質を描き出す。

JBpressでの連載「平安貴族列伝」に書き下ろし2編を収録。原文はすべて現代語訳を掲げ、詳細な系図も掲載。

著者プロフィール

倉本一宏  歴史学者。専門は日本古代政治史、古記録学。国際日本文化研究センター(日文研)・総合研究大学院大学(総研大)名誉教授。1958 年、三重県津市生まれ。1983 年、東京大学文学部国史学専修課程卒業。1989 年、同大学院人文科学研究科国史学専門課程博士課程単位修得退学。1997 年、博士(文学、東京大学)。著書に『平安貴族列伝』(日本ビジネスプレス)、『一条天皇』『壬申の乱』『現代語訳 小右記』『平安貴族の日記を読む事典:御堂関白記・小右記・権記』(吉川弘文館)、『蘇我氏』『藤原氏』『公家源氏』『平氏』(中公新書)、『藤原道長の日常生活』『戦争の日本古代史』『内戦の日本古代史』『平安京の下級官人』『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)、『藤原道長「御堂関白記」 全現代語訳』『藤原行成「権記」 全現代語訳』『藤原道長「御堂関白記」を読む』(講談社学術文庫)、『権記』『小右記』『平安貴族の夢分析』『壬申の乱 古代日本の風景を歩く』(角川ソフィア文庫)、『摂関期古記録の研究』(思文閣出版)『増補版 藤原道長の権力と欲望 紫式部の時代』(文春新書)、『平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像』(NHK新書)など。

目次

第一章 『日本文徳天皇実録』に見える薨卒伝

興世書主 嵯峨天皇に認められ破格の出世をした百済系渡来人
滋野貞主 業績を残すも出自のせいで参議止まりの官人
和気仲世 空海を保護し、神護寺建立など平安初期仏教を庇護
藤原高房 神の祟りを恐れず民を救った豪傑肌の官人の生涯
小野篁  遣唐使乗船拒否…さまざまな伝説が残る男の真実
菅原梶成 最も医療を解し侍医になった官人の命をつないだ技術
百済河成 正史にはじめて特筆された画家の生涯と「伝説」
橘百枝  橘氏の官人が八十歳まで生きられた意外な理由
石川長津 蘇我氏が改姓した石川氏の官人、古代氏族の終焉
藤原長良 出世を抜かれても恨まない、藤原北家を救った稀有な人格
春枝王  長屋王の子孫に見る、皇親の政治的役割と没落
長岑高名 皇位継承や政権抗争の陰にある下級官人層の営み
高枝王  苦労しながらみごとな出世を遂げた桓武天皇の孫
山田春城 清廉な観察で神官の誤りを糺した百済系渡来氏族の学者

第二章 『日本三代実録』に見える薨卒伝

安倍安仁 身長一九〇センチで巨漢だった官人が大出世した理由
藤原春津 出世を期待されながら欲がなかった藤原式家の官人
真済   すさまじい遭難を経て生き残った空海の弟子
藤原良仁 藤原北家でありながら十分な出世ができなかった理由
物部広泉 独学で医療を学びトップに立った物部氏の官人
橘岑継  橘奈良麻呂の変より復活を遂げた橘氏の官人
大神虎主 医道に進み針薬の奥義を究め侍医となった大神氏
清原岑成 皇親出身氏族としては異例の出世を遂げた官人
讃岐永直 代々律令を講義する学者だった讃岐国出身の官人
高橋文室麻呂 九歳で天皇に仕え琴を習い、「琴師」の号を得る
坂上当道 軍事貴族として活躍した坂上田村麻呂の子孫
斎部文山 下級官人が名を残すこととなった稀有な才能
壱演   藤原氏の同族の僧はなぜ祈り、水上で亡くなったのか
藤原貞敏 琵琶の祖となった藤原京家の官人の幸せな生涯
源信   優れながらも非業の死を遂げた公家源氏の初代
春澄善縄 身分が低くてもあきらめなかった官人の功績
伊伎是雄 渡来系氏族・伊伎氏、神事を司る重職に就任
藤原有貞 藤原南家最後の大臣の七男のあっぱれな生涯
清原秋雄 没落した皇親氏族・清原氏、出世を妨げた悪癖
多治貞岑 六世紀の大王の子孫・多治氏の、羨ましい人生
藤原良近 承和の変で失脚した藤原式家、最後は神祇官に
源寛   公家源氏としての優遇措置を選ばなかった官人
大江音人 学者や歌人を輩出した大江氏の主流となった官人
在原業平 決して不遇ではなかった「恋の王者」の意外な実像
高向公輔 女性と通じて還俗させられた僧の面白い「逸話」
坂上滝守 大宰府にて危機を収めた坂上田村麻呂の弟の孫
紀安雄  地方豪族出身ながら異例の出世を遂げた官人
【書き下ろし】橘良基  出来過ぎた能力が不幸を招いた橘氏の官人
【書き下ろし】文室巻雄 騎射を得意とし武官一筋だった官人の静かな最期

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