街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。連載の詳細はこちら

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鈴木ジェロニモの「耳の音」#30「天文部」

 

『オモコロ20周年展!!!!!!!!!!!!!』に行く。オモコロ編集長の原宿さんに誘っていただいた。いわゆるレセプションというやつで、ほうほうほうと思いながら当日向かう。かなり大規模の展示のため関係者の方々が何人もいらっしゃる。1人で入場列に並ぶ。列は蛇のように、大盛況のTOHOシネマズのように、S字に折り畳まれながら続いている。

「いやあ、オモコロの関係者としてレセプションに来るって、めっちゃ東京って感じですね」。後ろのグループの人たちが話している。同意。気持ちを表そうか迷って、体では表さないように、顔を保つことに力を使う。

「あ、ジェロニモさん」。さらに後ろの、これからS字に入ろうとする人とちょうど顔を見合わせる形になって、声をかけられる。えっ。ああ、どうもどうも。集英社の編集者さん。『原宿の今じゃない企画室』でお世話になった。あれ、これって。東京かどうかで言えば、オモコロの展示会に関係者レセプションで来て集英社の編集者と話すって、東京すぎないか。鳩が何もない道で数歩分だけ飛ぶように気持ちがぬっと、ふわっとする。

 編集者さんと一緒に原宿さんに挨拶する。「そういえばTaiTanさんのPINPIN MARTも今日レセプションですよね」「ですね、僕このあと行くんですよ」。えっ、僕もです。「なんだ、じゃあ一緒に行きましょう」。編集者さんと一緒に六本木のPINPIN MARTに向かう。東京すぎる。

 PINPIN MARTのガラス越しにぐんぴぃさんの背中が見える。...