近所の柿が橙色に染まってきました。柴栗も道端にコロコロと転がって、秋の訪れを見つけるたびにうれしくなります。

季節は巡り、去年と同じ景色を見せてくれますが、その景色を見たときに心が感じることは、毎年少しずつ違っていて……、それがまた、不思議でうれしいのです。自分の内側が変化すれば、目に映る景色もまったく違ったものになるのだなあと、移ろう四季が教えてくれます。

さて、今回は自分の内側に向き合った話を。
というのも最近、自分のことについて、ふりかえるきっかけがあったからです。

「いつになったら幸せになれるの?」と、もがいた日々

先日、名古屋と東京のNHK文化センターさんの講演会で「心地よい暮らしのヒント」というテーマにて、衣食住にまつわるお話をさせていただきました。

この講演内容を考えているときに、あらためて「自分の考えは?」「これをしたのは何でだっけ?」と、頭の中を棚卸しするような感じで、「ああ、そうだった」と過去の自分を思い出しました。

いろんなことを実践して、もがいて、自分と向き合ったからこそ、今の自分がいるし、どれも無駄なことなんてなかったのねと、やっとそんなふうに思えるように。

それは「成長した」という類のものではなく「憑きものが落ちた」といったほうがしっくりくる感じです。そのままありのままの自分を知ることで、わたしの心は軽くなっていったのです。

いやあ、講演会のおかげで過去のことを思い出して、また自分研究に火がつきそうです。

過去の自分を手放して、今の自分をじーっと観察する。
昔はできないと思っていたけれど、今ならできるかも、そんなことって意外とあると思うのですが、わたしにとっての講演会へのチャレンジがそれですね。

自分と向き合って本当によかったなあと思えたので、わたしが実践したこと、それをしたらどんな変化があったのかを、いくつかご紹介したいなと思います。

10年前くらいに遡りますが、当時、わたしの中で最も手当が必要だったことは、心に潤いを与えてあげることでした。
なぜなら、心が渇いていて幸せを感じられない——それが毎日を覆うようになってきて、なんとなくモヤモヤして、気分が晴れない、そんな息苦しさを感じていたからです。...