だんだん涼しくなってきて、外を歩くのが気持ちいい季節になりました。

 最近、映画『国宝』を観ました。歌舞伎の世界を描いた作品で、主演は吉沢亮さんと横浜流星さんです。

 見どころは、生まれや立場、時代の流れの中で、それでも“自分の芸”を貫こうと努力し、苦しくても諦めずに歌舞伎の世界で挑戦する姿が印象的でした。歌舞伎という古くからの世界を、今の感性で描いているのがすごく新鮮であり、日本の伝統芸の美しさと主演の2人の演技力に惚れ惚れして、見終わった後もしばらく余韻が残りました。

 映像もとてもきれいで、舞台の光や着物の色づかいが本当に美しく、セリフがなくても気持ちが伝わってくるようなシーンが多かったです。

 個人的には、「伝統を守る」ということは「変えない」ことではなくて、「受け継ぎながらも更新していくこと」なんだなと感じました。きらびやかな世界の裏では、世間から常に評価される。どの時代でも、何かを表現し続ける人たちはきっとずっと葛藤を抱えているんだと思います。

 純粋に映像の美しさと俳優たちの演技を楽しめる映画です。秋の夜にゆっくり観るのにぴったりでした。

編集・竹内