いつもシンクロナスをご覧いただきありがとうございます。シンクロ通信日曜日担当の望月です。
人に言ってしまったことを後悔したり、逆に「ああ言えばよかった」「こうすればよかった」と後悔することは誰もが一度は経験するのではないでしょうか。
今回紹介する青春小説『銀河の図書室』(名取佐和子・実業之日本社)の主人公も、物語を通してそんな後悔を繰り返す高校生です。
この小説は突然学校に来なくなった先輩の不登校の理由を宮沢賢治の小説や残した言葉から紐解いていく青春小説で、先輩の謎を追う中で、主人公や、登場人物の背景も明らかになっていくという話になっています。
主人公のする後悔は、この背景を知らずにしてしまった自分の言動によるものです。誰もが一度はしたことがあるような自己嫌悪を主人公も経験します。
そんなときこの小説では、学校の先生の人生経験からくる優しい言葉が、何度も主人公に前を向く勇気を与えています。もし先生の言葉がなかったら、主人公は、先輩の謎を最後まで追うことが出来なかったと思います。
私も先生の言葉に励まされました。
今後何度も落ち込むことがあると思いますが、そんなとき、この本の先生の言葉を読み返したいなと思いました。
なによりこの『銀河の図書室』は、宮沢賢治や本を好きになれる話であり、物語を通して優しく丁寧な描写に溢れていて好きな小説のひとつになったので、今後も大切にしたいです。