街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。(連載の詳細はこちら)

「おすおすおすおす、ナポリタン食べる?」。座るや否や友達が言う。連絡をもらって、1時間後くらいに行けるかな、と返した1時間後。送られていたURLの店に行くと入り口すぐの席にいて探す間もなく合流する。3人。4人席の残りの椅子を私がちょうど埋めるように座る。
「ウーロン茶?」。おお、うん、はいウーロン茶。「すいませんウーロン茶と、あとお会計で」。近づいて来た店員さんに友達が言う。もうお会計?と思って、そのあとおしぼりを受け取る。「ちょうど仕切り直すかってところでね」。おお、そうなんだ。じゃあむしろ次で合流してもよかったのに。「いやいや、あなたが来たら次いくかって言っててね。あとみんなお腹いっぱいで。お腹空いてる?」。うん。じゃあ、と勧められていたナポリタンをばくばく食べる。
「おおっ」「いいねー」「いやあ、さすがっす」。食べる私を見ながらグラスに残った氷を鳴らすようにそれぞれ、くっ、と飲み切る。私の一体何がさすがなのかは分からないようで分かるというか、...