「青い花」

街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。（連載の詳細はこちら）

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　わっ。香りが涼しい。まず思う。まるで花畑の上空。靴が汚れる心配が全くないのにフローラル。それでいて滝が新鮮に流れ続けているような清涼感。空間全体がそうなっていて、頻繁に来させてもらっているJ-WAVEのスタジオなのに違う場所みたいに思う。初めまして。鈴木ジェロニモです。よろしくお願いします。「吉岡里帆です。よろしくお願いします」。

　吉岡里帆さんとラジオで喋る。1時間。そのあり得なさに半笑いでスタジオまで来たら、まあマジで吉岡里帆さんがいらっしゃる。はい。まあ、ええ、そうですよね。でも、どういうことだろう。

　目の前に吉岡里帆さんがいらっしゃって、今、挨拶をした。これから喋ろうとしている。分かります。分かりますけど、それは分かるというだけで、魔法で浮いたみたいに体が納得いっていない。なんとか今この瞬間を、自分の人生の、確かさのある実際の時間だと把握したい。それが私に何かを言わせる。

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