街を歩いていると、不意に耳に入ってくる言葉がある。誰かの会話、カフェのBGM、看板の文字。芸人・鈴木ジェロニモが、日常の中で出会った“ちょっと気になる言葉”に耳をすませて、思考を巡らせます。

鈴木ジェロニモの「耳の音」#12「ビーリアル撮っていいですか?」

 

 依頼をいただいて高等学校で短歌について話した。栃木県立宇都宮女子高等学校。宇女高。うじょこう。私の母親の出身校だったり好きな人が通っていたりして、その略称が私をいつまでもどきどきさせる。

「実はお兄さんと高校のとき同じクラスでして」。オファーをくださった先生が校門から教室まで案内しながら言ってくださる。『水道水の味を説明する』の書籍きっかけで知った、調べたら短歌を作ってらっしゃる、学校で詩や韻文についての講座を開きたかった、受験勉強には直接繋がらないかもしれないけれど生徒たちはきっと面白いと思ってくれる、大学院時代に詩の翻訳について研究していて、などと知りたいことを尋ねたらぜんぶの返答を嬉しい響きで渡してくださる。

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