打点王ランキングではトップを走り、ナ・リーグ週間MVP(現地5月19日〜5月25日)に選出されるなど、首位を走るチームを打撃で牽引する鈴木誠也。

 シーズン140打点、40本塁打を上回るそのペースはもとより、繰り出すパワーにおいても最高打球速度はメジャー上位3%(13位)、平均打球速度は7%(18位)とMLB屈指の数値をたたき出している。

 どんな変化があったのか。今回は、NewsLetterに代わって、鈴木誠也に独占直撃。

ナ・リーグ2位のホームランと打点を記録するほど好調な鈴木誠也。何を変えたのかーー?続きを読む

週間MVP獲得でも「良くはない」

――おつかれさまです。

鈴木 なかなかタイミングがなくて更新できずすみません。

――いえいえ。バッターは試合が毎日あり、試合前後でチェックすることも多いので、大変な中、逆に申し訳ないですが……。

鈴木 いやいや、すみません。

――早速、本題に。5月好調に見えました。誠也さんの手応えとしてはどうですか。

鈴木 うーん……、ぜんぜんですね。「すごくいい!」って感覚はまったくないです。

――なるほど。これまでの3シーズン、5・6月はケガもあったりしましたが誠也さんにとっては「難しい時期」でした。2022年の5月が71打数15安打0本塁打、打率.211・OPS.616、2023年こそ5月は91打数29安打5本塁打で打率.319・OPS.977と好調でしたが、翌6月には打率1割台、0本塁打と苦戦をした。そして昨シーズンは73打数16安打2本塁打、打率.219・OPS.604です。

 それが、今年は101打数26安打7本塁打、打率.257・OPS.874。なにより打点が26で、これまでの7打点→13打点→6打点(順に22年→23年→24年)に比べて格段にアップしています。

鈴木 どうですかね……特に、打点というのはチームメイトがいて、彼らが塁に出て得点圏を作ってくれてこそ、という話でもあるので、僕自身だけでコントロールできるものではない、っていう感覚ですね。

 もちろん、増えるのはいいことですし、うれしいですけど、僕がいい、という理由にはならないかな、と。

 ただ、そうやって周りが作ってくれたチャンスだからこそ、――ここでよく話し、書き続けている――「なんとか最低限」の仕事をしよう、という部分が、うまく働いて数字に表れているのかもしれません。

――いつもおっしゃられていました。

鈴木 はい。実際、チームの流れもよいですし(ナ・リーグ中地区首位、直近も10試合も8勝2敗)、打順の巡りもいい。自分の状態が良くないことで、その流れにストップをかけたくないじゃないですか。

 なので、できる限り流れに乗って「どんどん行っちゃえ!」みたいな感覚でアプローチするときと、「ランナーがいないからちょっと慎重に行こう」というふうに入るときもある。そこは、考え分けながらという感じなんですけど……。

――その結果が打点やホームランという(率とは違った)「減らない数字」に表れている?

鈴木 うーん、どうですかね。今までは(過去3シーズン)、悪くなる傾向的に...