渡部陽一「1000枚の戦場」とは 

渡部陽一「1000枚の戦場」91~94/1000

写真#91「日本人襲撃テロ事件の現場となったダッカのレストラン、ホーリー・アルチザン・ベーカリー」渡部陽一氏が2016年7月撮影
渡部陽一氏が撮ってきた膨大な写真の中から1000枚をピックアップし、「戦場のホント」を動画とテキストで解説する「1000枚の戦場」。

第23回のテーマは南アジア、「バングラデシュ」について。

2016年7月1日、バングラデシュの首都ダッカの大使館街で起きた飲食店襲撃事件、ダッカ襲撃テロ事件。

この事件で日本人7人含む多数の外国人が殺害されました。

あれから7年。

渡部陽一氏が今年2023年6月上旬、事件現場のその後を取材しました。
(渡部氏は2016年7月にも取材済み)

事件の背景や、日本とバングラデシュとの関わりについて、現地で撮影した写真とともに、解説をご覧下さい。

ダッカ襲撃テロ事件の背景

 こんにちは。戦場カメラマンの渡部陽一です。
 
 今回は、私が2016年7月と今年6月上旬に現地取材をした南アジア、バングラデシュをご紹介いたします。

バングラデシュ・首都ダッカ/GettyImages

 2016年7月1日、バングラデシュの首都ダッカのグルシャン地区「ホーリー・アルチザン・ベーカリー」というレストランの中で、テロ事件が発生。

 日本人7人を含む多くの外国人が殺害されました。

 冒頭の写真は、事件現場となった「ホーリー・アルチザン・ベーカリー」。

 このエリアは、たくさんの大使館が集まっている、いわゆる大使館街で、日本で言うと、広尾であったり、麻布であったり、比較的裕福な場所と言えます。

 事件が起きたレストランでは、たくさんの大使館員や駐在員が食事をするような、地域の生活環境とはかけ離れた、欧米的な暮らしの文化が根付いていた地域でした。

 その場所を過激派組織「ジャマトル(ジャマトゥル)・ムジャヒディン・バングラデシュ(JMB)」の戦闘員が襲撃をかけたんです。

 この現場で日本人、イタリア人、バングラデシュ人、さらには1人のインド人も殺害されました。

 日本からバングラデシュのライフラインの支援をするために現地に駐留していた若い方々までが事件に巻き込まれたんです。...