SAPIXといえば、首都圏の中学受験で知らない人はいないほどの大手進学塾です。難関校への高い合格実績を誇る一方、「授業についていくのが大変そう」「本当にわが子に合うの?」と迷う家庭も少なくありません。
前回は、中学受験の塾選びで後悔しないために、子どもの性格や親の伴走、通塾時間、費用など、入塾前に考えておきたいポイントを紹介しました。「評判のいい塾」「合格実績の高い塾」が、必ずしも我が子に合うとは限りません。
では、わが家は実際にどうやって塾を選んだのか。
長男、次男ともに選んだのはSAPIXです。教育ジャーナリストとしてさまざまな塾や受験家庭を取材してきた私が、なぜSAPIXを選んだのか。振り返ってみると、そこには4つの理由がありました。
我が家がSAPIXを選んで後悔ない理由
我が家の長男は2024年に中学受験を終了しました。次男は現在小5で通塾中。ふたりともSAPIXにお世話になっています。
「SAPIXって、やっぱりいいんですか?」
「ハードですよね⁉」
講演会のあと、取材先で、あるいはママ友との立ち話で、しばしば尋ねられるこの質問。「うちもSAPIXを考えているんですが、他の塾と違って授業体験もできないし迷っていて」「やっぱり色々塾を取材して、SAPIXですか?」と聞かれるたびに、少しだけ返事に困ります。
なぜなら、この質問には正解がないからです。
SAPIXは間違いなく優れた塾です。毎年、開成、桜蔭、麻布、女子学院といった難関中学への合格者数でトップクラスの実績を残し、首都圏では「難関校を目指すならSAPIX」というイメージがすっかり定着しました。
一方で、「優れた塾」と「その子に合う塾」は、必ずしも同じではありません。お伝えしてきた通り、「塾選びで大切な6つのポイント」や「親が見落としがちな5つのこと」が重要になります。
これは、長男の中学受験を終え、現在は次男の伴走をしている今だからこそ思うことです。けれど、いまから7・8年前の私は、そこまで考えが及んでいませんでした。私もまた、多くの保護者と同じように、「どこの塾を選べばいいんだろう、とりあえず大手かな……」と悩んでいました。
話は大層、さかのぼります。私自身が中学受験をした1992年、SAPIXは創立してまだ数年の新しい塾でした。当時の中学受験塾といえば、四谷大塚や日能研。小学生だった私は、それさえも知る由もなく、親が選んだ近所の塾に通っていました。呑気な時代だったので、新小6から塾に入って猛勉強の末、なんとか滑り込んだ第3志望の学校に入学後、「SAPIXは楽しかった」「できる子が集まっていた」という話を、風の噂のように耳にした記憶があります。
時は流れ、それから30年あまりの間に中学受験の風景は大きく変わりました。東京23区のなかでも、文京区では公立小学校卒業者の48.5%、港区では41.9%が私立中学校へ進学しています。文京区にいたっては、ほぼ2人に1人です。
受験者が増えれば、当然、塾選びも複雑になり、地域によっては早期化します。私は昔の記憶を持ちつつも新しい情報を意識的に取り込んで、長男が通う塾を探し始めました。
決め手になった「4つの理由」
さて、ここからは決して特定の塾をすすめているわけではなく、あくまでもどのように塾選びを進めたか、の参考としていただきたく、記していきます。
振り返ってみると、我が家がSAPIXを選んだ理由は4つありました。...