教育ジャーナリストであり、2度の中学受験(1人は伴走中)を経験した佐野倫子さんが、悩みの多い中学受験について、「リアルな中学受験マニュアル」として配信をしていく本連載。
100家庭以上への取材、自身の経験から「陥りやすい罠」「誰にも言えない悩み」「基本的な疑問」について【判断軸】をご紹介していきます。
第1回の今回は、誰もが悩む「どこの塾に入ればいいの?」。合格実績か、評判のいい先生か、それとも金額か……。見逃されがちな6つのポイントをご紹介。その「判断軸」とは?
教育ジャーナリスト×保護者から見た「塾選び」の判断軸
・「中学受験にベストな塾は?」合格実績よりも大切なもの
・【3家庭の中学受験リアル体験談】(9月23日配信)
SAPIX、早稲アカ、日能研「評判のいい塾」と「わが子に合う塾」
・中学受験「塾選び」で親が見落としがちな5つのこと(9月30日配信)
「いい塾/悪い塾」ではなく「合う塾/合わない塾」で考える
「佐野さん、結局どこの塾が一番いいんですか?」
教育ジャーナリストとして仕事をするなかで、読者の方や友人、知人からこの質問を何回受けてきたかわかりません。
でも、そのたびに私は少し困ってしまいます。なぜなら、本当の答えは、とてもシンプルだから。
「その子によります……」
こんな答えは誰も期待していないんですよね(笑)。でも長年取材し続けてきて、確信していることでもあるのです。
私はこれまで数多くのご家庭に取材をしてきました。並行してSAPIX、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研など、いわゆる中学受験の「4大塾」[1]と呼ばれる大手から小規模な街の塾まで、本部の先生や経営陣、教材開発担当者、トップ講師にお話を伺い、その本音を問いてきました。
そして保護者として長男の中学受験伴走を終了、現在は次男の受験に伴走しています。
色々な取材をしているから、知っていることも多いから、さぞスムーズに伴走しているのだろうと思われるかもしれませんが、実態はほど遠く……。教育ジャーナリストにもかかわらず、わが子のこととなると、テストの結果に落ち込み、宿題が終わらず親子げんかをし、「もう受験なんてやめよう」と何度思ったかわかりません。
ですから、きれいごとを抜きにして、保護者がどのような気持ちや状態で中学受験勉強に伴走しているのかについてはよくわかっているつもりです。
つまり私は、いわば「記者席」からだけではなく、「保護者席」からも塾を見ています。そのすべての経験から言えることは、塾に「いい塾」と「悪い塾」はないということ。
あるのは、「その子に合う塾」と「合わない塾」だけ。なので、「一番の塾は?」 という質問にはいつも、言い淀んでしまうというわけです。
合格実績は何を表しているのか? 塾選び6つのチェックポイント
塾を探し始めると、合格実績のポスターや広告がまず目につくことと思います。
「開成○○名!」
「桜蔭○○名!」
「御三家合格者過去最高!」[2]
それを見ると、親としては心が揺れますよね。「ああ、この塾に入れば安心なのかな?」あるいは「この塾に入らないと他の子に負けちゃうかな……」と思ってしまいます。
でも、その数字や評判だけで決めて、後悔するケースを何度も見てきました。なぜなら、自分の子の受験の成否に、他人の合格者数はあまり関係がないからです。
では実際に見るべきポイントとはどんな部分なのでしょうか?
塾によって大きく異なるのポイントが6つあります。
➀ 宿題は毎日どれくらい出るのか...