前回は【判断軸➀】として、塾選びは合格実績だけで決めないこと、それよりも気にすべき6つのポイントを紹介しました。
今回は判断軸2つ目。実際に我が子がその塾で力を伸ばせるか。「塾と我が子との相性」を見ることです。
これまで取材してきた家庭の中から、SAPIX、早稲田アカデミー、日能研に通った3家庭のリアルな体験談を紹介。「評判のいい塾」と「我が子に合う塾」は何が違うのかを考えます。
「SAPIXなら何とかしてくれる」と思っていました
——元・SAPIX保護者・美樹さん(仮名)
「正直に言うと、ブランドで選びました」。美樹さんは少し笑いながら、そう話してくれました。
「周りのお母さんがみんな『SAPIXが一番』って言うんです。御三家[1]に行くならSAPIXしかない、みたいな空気もあって。だから、息子に合うかどうかなんて考えずに入れました」
入塾したのは小4。最初の授業は楽しかったそうです。しかし5年生になり、次第に家の中の雰囲気がぎすぎすしたものに変化したと美樹さん。
SAPIXはスパイラル学習[2]が売りで、ハイレベルな教材をある程度主体性をもってゴリゴリと進めていく必要があります。気づけば、毎週、何かが積み残されるようになってしまったと言います。
「息子は決して勉強嫌いではないんです。でも問題の難易度が上がってくると『考えてごらん』と言われても、手が止まってしまうことが増えました。集中力も散漫になってしまいます。そうなると、私が横につくしかない状況になりました」
平日も、仕事から帰宅したあと夕食を作り、弟を寝かしつけ、夜10時から美樹さんは算数の丸つけなど、できるサポートを頑張ったそう。お子さんが間違えた問題に付箋を貼り、翌朝すこし早く起きて、解かせるようにしました。
しかし成績は思うようには伸びませんでした。テストが返ってくるたびに、「もっと復習しないと」「演習量が足りない」と子どもを責めるようになってしまったと言います。半年後、家族で話し合い、転塾しました。...