いつも「平石洋介 探球論」をありがとうございます。毎月のLive配信でも、【トレンド分析】【プレー解説】【キーマン検証】と、それぞれに興味深い質問があって僕自身もみなさんの野球の見方を知ることができて楽しませてもらっています。

 月末(7月30日)にはいよいよ「リアル版」として辻発彦さんとイベントをさせていただきます。ぜひお越しください。

 今回は前半戦もいよいよ最終版、シーズンも折り返しに入ったということでここまでの「衝撃トレンド/プレー/キーマン2026」と題して、お話できればと思います。まずは【衝撃プレー解説】は……歴史的なプレーについて。本当にびっくりしました。

チケット購入:辻発彦×平石洋介「トーク&サイン会

水谷、水野、レイエス、万波……4者連続ホームラン

 前半戦のなかで「歴史的」といえるプレーが生れました。

 7月2日、北海道日本ハムファイターズの4者連続ホームランです。

写真:共同通信

 この日、僕は福岡のみずほPayPayドームで福岡ソフトバンクホークス対埼玉西武ライオンズの解説をしていました。

 回の途中だったと思います。いつも他球場の試合の速報をチェックしながら解説に臨んでいて、この日もファイターズ対オリックス・バファローズの経過を見ていたのですが……まず、オリックスの西川龍馬選手が初回にホームランを打ち先制。それをファイターズの水谷瞬選手、水野達稀選手の連続ホームラン。

 すごい試合をしてるなあと、一緒に解説をしていたチカ(池田親興)さんにそれを伝えました。

 試合が再開する直前にレイエス選手もホームラン。

 その数分後です。チカさんが急に手を挙げるようなポーズをして僕を見てきました。

「まさか」と思いましたが……万波中正選手までホームランを打ち、4者連続。びっくりしました(笑)。

 とにかくすごい、としか言いようがありません。

 この日、試合を行っていたファイターズの本拠地であるエスコンフィールドはホームランが出やすいと言われています。

 球場にいると分かるのですが、両翼が狭く感じる(一方、センターは広いのですが)。こういう選手が感じる心理的な要因も影響しているのかもしれません。

 実際に、今シーズンのエスコンは1試合平均2.49本のホームランが生れていて、これは12球団1位。これだけだと選手の力という見方もできますが、昨シーズンの「パークファクター」(その球場でどれだけ得点が入りやすい、あるいは入りにくいかを示したもので1.00が中立。1を超えると打者有利、下回ると投手有利とされる。今回示しているのはホームランパークファクターではないことに注意)でも1.2強と12球団1位です。

 打者にとって何かしらポジティブな印象のある球場と言えると思います。

 こうした球場が持つイメージはけっこう重要です。

球場が与える影響「ソロホームランを嫌がるな」

 監督やコーチをしているとき「ソロホームランを嫌がるな」という話をバッテリーに伝えることがありました。

 これは、例えばセ・リーグの東京ドームや、神宮球場、横浜スタジアム、あるいは地方球場のときによく言っていたと思います。

 東京ドーム以外は、外の球場ですから風などの影響も考慮して戦います。バッテリーとしては、ホームランが出やすい、狭い……というイメージから「長打の出にくいアウトコース中心」の配球になりがちなのですが、そうやって慎重に行きすぎることで、逆にランナーを溜めてしまう、ということも起こりえる。

 あるいは、相手打者がアウトコースに狙いを定めやすくなり(狭いからこそ)逆方向にホームラン、なんてことも起こります。

「ソロホームランを嫌がるな」というのは、バッテリーがそういう心理に陥らないように、「ソロホームランは最悪、OK。長打を怖がらず時には大胆にインコースも使おう」というメッセージでもありました。

 こうして球場によって戦い方がかわってくるのが野球の面白さであり、難しさです。

 特に交流戦のように、ふだんはあまりプレーしない球場での試合は気を遣います。先ほど指摘したように、東京ドームや神宮、横浜スタジアムは得点が生まれやすい。取れるときに一点でも多く得点をしておかないと、一気にまくられる可能性があります。

 一方で、甲子園球場やZoom-Zoomスタジアムは熱狂的なファンが作り出す雰囲気に飲み込まれてしまうこともある。

 甲子園はよく「浜風」と言われますが、あれはプレーをしていると本当にやっかいです。加えて外野の形も実はかなり独特で、多くの球場はセンターのフェンスまでが「最深部」となり両翼のポールに向かって近くなっていくのですが、甲子園の場合はセンターから両翼にむかうふくらみが独特で右中間、左中間でも118メートルあります(例えば東京ドームは110メートル)。

なぜドラゴンズの投手は軸足を曲げたのか?

 振り返ってみて、一番気を遣ったのが現・バンテリンドームナゴヤです。今は、ホームランウィングができて緩和されましたが、とにかく広かった。落合博満が監督されていたころは、守備力を強化し最少失点で勝ち抜く野球をされていましたが、それもナゴヤドームの特徴が頭にあったのではないかと思います。

 また東北楽天イーグルスで監督をしていたころは、ピッチャー陣からナゴヤドームのマウンドは投げづらい、ということを聞いていました。当時の球場の中では珍しく傾斜が大きく、そのまま投げると高めにいってしまう。それを調整しようとすると低めにひっかけてしまう。

 当時のドラゴンズの投手陣――吉見一起や浅尾拓也などをよくよく観察するとほとんどがセットポジションから投げていて、しかも軸足をやや曲げています。これはこの傾斜に対応するためだったのではないか。そんなふうに考えていました。

 だからといって戦い方が大きく変わるわけではありませんでしたが、交流戦は違った感覚があったものです。

 エスコンをホームとするファイターズはホームランを中心に長打を目指し、かつてのナゴヤドームを主戦とする落合ドラゴンズのように一点を守り切る。こうしたチームの戦い方が球場とかかわってくる、その妙味について書いてみました。

 まあ、それにしても。どの球場であろうと4者連続ホームランはすごい。これからもめったに見られない名場面だったと思います。

チケットまだあります。ぜひお越しください!
こちらの記事は以下の商品の中に含まれております。
ご購入いただくと過去記事含むすべてのコンテンツがご覧になれます。
平石洋介の探球論
月額:1,100円(税込)
商品の詳細をみる

 元楽天監督・平石洋介と一緒に「野球を探求」していくコンテンツ「探球論」。毎週の野球分析記事やLIVE配信、対談など「プロの現場レベル」のお話を話していきます。連動企画書籍『人に学び、人に生かす。』は好評発売中。

毎週配信、監督・コーチ経験者ならではの視点で送る新・野球分析

平石洋介より(From Yosuke Hiraishi)

2025年は『人に学び、人に生かす。』を出版させてもらいました。長く読んでもらえればうれしいです。2026年はより野球の見方、現場の考えを伝えられるコンテンツにしていきたいです!

ログインしてコンテンツをお楽しみください
会員登録済みの方は商品を購入してお楽しみください。
会員登録がまだの方は会員登録後に商品をご購入ください。