『1冊目に読みたい小説の書き方の教科書』の装丁を依頼するときに、当初は実用書の得意なデザイナーにお願いしようかと考えていたのですが、ふとしたことが頭に浮かびます。
「小説を書いていて、どんなときが一番嬉しいか」という質問を小説家にすると、「カバーのデザインがあがってきたとき」という答えをよく聞きます。
丹精込めて執筆してきた作品が、パッケージされて世の中に広まっていくところがイメージできる。そんな瞬間だからではないでしょうか。
本書の読者は、小説を書きたい人で、いつか自分の作品が多くの人に届くことを望んでいるのではないか。
となるとお願いするのは実用書のデザイナーではない。
読んでくれた方が、作品を書き上げ、小説家となり、その装丁をお願いしたい、そう思える方にデザインを手掛けていただきたい。
そこで連絡をとったのが川谷康久さんです。
川谷さんは「君に届け」や「俺物語」などの大ヒットコミックのカバーを手掛けたブックデザイナー。
新潮社がライト文芸レーベルである新潮文庫nexを立ち上げるにあたり、フォーマットデザインを依頼し、『世界でいちばん透きとおった物語』「階段島シリーズ」や「天久鷹央シリーズ」など、数多のヒット作が生まれています。
昨年末の間違いなく超多忙であろうタイミングでの依頼でしたが、ご快諾いただくことができました。
「教科書という定番になりえるものでありながら、読んだ人に『創作することって楽しいんだ』という気持ちになってもらえるようなイメージ」でとお願いし、最終的にかたちになったのがこちらです。
「この本を読んで小説家になりました」といってくれる方が、いつかでてくるといいなという願いと、売れてほしいという切実な祈りを込めて、本書を皆様にお届けします。
編集・雪
