降り立った羽田空港

 中国戦、サウジアラビア戦と応援ありがとうございました。本当にひとつも落とせない、背水の状況で、まずは2勝できたこと。何とか役割を果たせたかな。

 ただ、まだ何も決まっていません。次のオーストラリア戦でしっかりと勝って、ワールドカップ出場の切符を手に入れたいと思っています。

 と、いうことで今回はこのシリーズを振り返ってみたいと思います。

 シュツットガルトでフライブルク戦を終えた翌日、僕は日本へと向かいました。例年なら年末年始のオフに帰国をしていましたが、コロナ禍とあって、今年初めての日本でした。

 羽田空港に降り立つと、「まだ何も決まっていない」「とにかく勝たないといけない」「勝利のためにやれることをしっかりやろう」……胸にいろいろな思いがよぎります。特に、今回は日本代表をずっと支えてきてくれた(吉田)麻也くんがケガで不在でした。その後に、麻也くんとコンビを組んできた冨安(健洋)も出場を辞退することになるなど、決して簡単な状況ではありませんでした。

 ホテルに向かいながら、これから始まる厳しい1週間への覚悟のようなものが芽生えてきたことを覚えています。――漠然と、ですが。

 あ、あと。

「そういえばキャプテン誰になるんだろう、佑都くんかな、サコ(大迫)くん?……」、なんてことも考えていたかな。

 練習は翌日から。Jリーグでプレーしている代表選手たちは事前に合宿を組んでいます。トレーニングを見る限り、その効果もあってか、コンディションが良さそうに見えました。

「練習、どんな感じだったんですか?」そんなことを佑都くんに聞いたりしながら、代表の戦いへと集中を高めていきます。

 ちなみに、見逃されがちな視点ですが、Jリーグでプレーする代表選手の多くにとって、この「負けられない試合」が、ほとんど2カ月ぶりの実戦でした。そう簡単なアジャストではない。さまざまなリーグの、さまざまなクラブの選手が集まる代表ならではの難しさです。

 いろいろと批評されることはありますが、そういう状況でプレーをした権田さんや佑都くん、サコくん、(酒井)宏樹くん、彰悟くんはすごかったと思います。

キャプテン打診

 練習が始まったときには、サプライズがありました。合流して、森保監督にあいさつをしたときのこと、森保監督に言われたのです。

「キャプテンで行くので、よろしくお願いします」

 もしかして「敬語!?」って思った方もいらっしゃるかもしれませんが、森保監督はいつもこうやって選手にも気を使って、丁寧な言葉遣いをしてくださいます。

「あ、そうなんですか。頑張ります」

 ちょっとびっくりしたのもあって、とっさに、そんなふうに答えたように記憶しています。...