[収録時間33分/2019年10月配信/注意事項:途中シャッター音などが入ります。旧ラボ(isMedia)会員でご購入済みの方はそちらからご視聴いただけます]
日本を代表する攻撃的MFはどんな「原則」をもとにプレーを行っているのか? 特別対談の後編。

前編の動画はこちら
https://www.synchronous.jp/articles/-/33

「ニアゾーン」を取る、という考え方

岩政 鹿島だと2トップが中から外に流れることが多いじゃないですか、ただこれだと意外と背中背負っちゃっててポイントにはなるけどみたいなところはあるじゃないですか。川崎は2列目から侵入していったり、もう少し縦方向とか、最近だと長谷川選手が外から入ってくることもありますけど。また入り方が違うのかなって思いますけど。

大島 全然違うと思いますね。

岩政 そこはニアゾーンの取り方の部分も意識したりはする?

大島 寄せた時に5バックのチームってやりにくいというのは正直あります。人がいると個の能力を人数でカバーできる所もあるので、ニアゾーンを取りに行きたくても取りに行ったときに受け渡すことができる。なので、僕が試合に出て感じたのは僕がなるべく味方のFWとサイドハーフの間にいようかなと。

 

僕はただここに立っていただけなんですけど、SBから登里選手がグーッと走ってきて、ボールを持った長谷川選手が中に入ってスッとパスを登里選手に出したんですけど。たぶん相手は僕にパス出すだろうと思っていたと思います。もし僕が後ろにいて、登里選手か走ったらたぶん分かるんで、クッと下がれるんですけど、僕がFWとサイドハーフの間にいると、登里選手のランニングに対して1個遅れてくれるという。だから、なるべくそのポジションに立ちたいなって。ただ、全体を見たときに背後のスペースが空くので…

岩政 まぁリスクはありますよね。

大島 今まであまり取らなかった位置ではあるんですけど。ここに立つことでニアゾーンを取りやすくなるのかなっていうのはあります。ここにドンと出してもらって、僕が前向きにサポートすることで何かできると思いますけど。

ニアのCBをどう攻略するか


岩政 最近指導者になって3バックの相手をどう攻略しようって言えばいいかなと思っていて。4バックだとここ取りながらCB出させてやるとか、ボランチが来たらここ空くよって言いやすいんだけど、3になったら難しいなと思って。特に押し込んだときですね。この時どうしようかなって思ったときに、やっぱりここのニアのCBを攻略するのが恐らくポイントだなって思って。

 

大島 とにかくニアのCBが出てきてくれれば4バックと同じようになりますし、ただ出てこないチームが多い。たぶん出るなって言われてる。トップのFWがニアゾーンに出てしまうと真ん中の攻撃が弱くなってしまうというか。たぶん遅れてサイドハーフとかが来るかもしれないですけど。

やっぱりセンターフォワードがせっかく2人もいるのに、1人をニアゾーンで使っちゃうと結局中は点で合わせないと難しくなるんじゃないかなって。FWには残って欲しいなって思って。ニアゾーンに出ていったときに僕らMFが入っていくと言っても、僕が入っても(笑)みたいに思って。じゃあ僕はニアのCBにつく方かなって。そういう風なことをやってみました。

岩政 僕も日本サッカーの中でよくニアゾーンを取りましょうと言うんだけど、あまり中からふらーっと行くのはCBにとってそれほど困らないような気がしていて、もっと完全に崩されたら確かにCBは対応が難しいと思うけど、ニアゾーンに入るボールって、そこに入る選手がスーパーで行けるなら別ですけど、僕はそこまで困りはしないかなって。まぁ引っ張られるというのはあるかもしれないですけど。3バックなら尚更困らないですし、中から外行ってニアゾーン取りましょうってあまり効果的ではない気がしていて

大島 じゃあその後どうするってなったら無理やり行くのか戻してクロスかって、でもこのFWは間に合わないですもんね

岩政 ここで2トップいますから、残してサイドの3人で崩しに行くと。それは実際にイメージとして意図して実現できたプレーだったんですね。

大島 何ら関与してないですけど、この選手さえ止まってくれれば良いなっていうのは。

岩政 ありましたね!さっきも言ったように丁度3バックのことを考えてたときだったんで、これは良いな! ニアに人数かけてますけど、ここ閉じちゃえば、後ろでリスクマネジメントして十分対応できますよね。

大島 そこのリスク管理がしっかりできないとですね。そこさえチームメイトが分かって、誰かが抜けたから埋めるということをできれば多少失っても戻ればというところと、3人、4人はいると思うので。

相手が川崎のリズムに慣れてきた時、まずどう考えるか

岩政 川崎相手だと、相手はすごい割り切って守る時間帯が多くなってきているじゃないですか、その中で立ち上がりとか前半で取れれば良いですけど、中々取れなくなってきてそうすると相手は川崎のリズムに慣れてくるじゃないですか、その頃ってどういうことを考えます?攻め手変えてみようかなとか考えるのか。まぁこれは相手によるかぁ。どういう観点で攻め手を見つけていきます?

大島 やっぱりまず攻撃が詰まってきてしまった場合は、良くないと思うのが最初に失点すること。もちろん叩きに行くけど、相手がすごい強度で守るってなったら、特に浦和レッズと試合したときに、前線にマルティノス選手がいてカウンターを狙ってて明らかにそれが狙いだなって選手がいた時は先に失点しないというところを考えてはいます。

 

岩政 それってずっとですか?

大島 阿部(浩之選手)ちゃんがガンバから入ってきて、それからですね。それで変わりました。

岩政 え? そういうことを言われたんだ?

大島 そうですね。阿部ちゃんは攻撃的な選手ですけど、絞ることであったり、スライドであったり守備に対しての意識の高さが凄くて。攻撃的だけど、守備での安定がなかったら良くないということで、そういう時は最初は失点しないことが大事かなって。

岩政 以前の川崎だとそういう時、ドンドン突っ込もうとやってパンとやられるイメージがあったけど、あーじゃあそういうちょっとしたことで。それってホントに少しの心の置所じゃないですかそんなものって

大島 自分たちのパワーの使い方を大げさに言えば10使っていたものを8にして、2は守備のことも考えつつというか。基本常にそういうことは考えではいますけど、カウンターに出てきた瞬間に出せるパワーを持って攻撃に行こうとか。

岩政 たしかに、そこに2入ってるだけでパンと行かれたときの対応が変わりますもんね。

大島 戻ろうー!っていう

予測しておくと、守備の疲労度が変わる


岩政 すぐに向かえるっていう。たしかに、10で行っちゃうとえっ?というその一瞬で行かれちゃいますもんね。あーそこでの変化があったんですね。それで勝ち切れる試合が多くなったというのは感覚としてあります?

大島 ありますね。ただ、今年先に失点してしまうことがあったり、最後に追いつかれてしまうことがありますけど。攻撃を10で行って、失った瞬間にバーっとやられる、その予測じゃないですけど、取られても戻って守備しようっていう気持ち的に守備をしたときの疲労感が変わるというか。そういった意味ではありますね。

撮影:杉田裕一

岩政 あー!面白いですね!やっぱりそこに意識は行ったんだなー それで実際に2連覇できましたし、そこの恐らくサッカー選手ずっと勝てればベストなんですけど、中々勝てそうで勝てない時期があったじゃないですか、そこから2連覇の経験になった、その移り変わりを経験できたのって非常に大きいと思うんですよね。

大島 そうですね、大きいですね。ただまぁ3連覇したいというのが(笑)

岩政 それは辞めといてね!(笑)それは僕は言ってるから! 3連覇は本当に苦労して獲ったから!(対談33分/0:07~09:37の9分を抜粋)...