写真:共同通信 
=探球論「NewsLetter」INDEX=
1)長嶋茂雄さんのこと
2)メジャー発メーカー、最先端のリアル

3)岩嵜・リチャード・秋広・大江「シーズン中移籍」の是非
 ・考察「ソフトバンク、リチャード放出」の背景
 ・考察「ソフトバンク・大江獲得」の背景
 ・考察・岩嵜の金銭トレード
 ・シーズン中の移籍はなぜ起きる?
 ・大型」から「適材」新しいトレードの形

1)長嶋茂雄さんのこと

 まず、とても大きなショックなニュース、長嶋茂雄さんの訃報に接し、驚きと悲しみを隠せません。

 心よりお悔やみ申し上げます。

 少しだけ、わたしの思い出を書かせていただきます。プロに入ってから、何度かグラウンドに来られたとき、ご挨拶をさせていただきましたが、特別な接点があったわけではないわたしにとって、長く話をさせていただく機会もなく、まさに雲の上の存在でした。

 ただ一度、忘れられないが2002年、同志社大学四年生の頃のことです。

 その年、イタリアで行われる「第1回世界大学野球選手権」が8月に行われることになっていたのですが、その日本代表メンバーに選ばれていたわたしは、壮行会に登場された長嶋茂雄さんの姿に圧倒されます。

 まだ22歳で大した人生経験があるわけでもありません。それでも幸運なことに、プロになった先輩、甲子園で優勝された指導者の方々などさまざまな尊敬する人たちに、出会ってきました。

 それなりの野球人生を歩んできたつもりが……壮行式で激励のスピーチをしていただいた長嶋さんが登場された瞬間、「人には本当にオーラがあるのだ」と衝撃を受けたのです。

 これは本当の話で、長嶋さんの後ろ側、というのか、周囲というのか、どう形容していいのかわかりませんが、何かが発せられている。それが近寄りがたくも、魅力的なものに映りました。

 あのシーンは、今でも忘れられません。

 直接指導を受けたわけでもなく、お話をしたこともない私でさえ、その存在に惹かれ、憧れました。きっと、もっと近くにおられた方はそれ以上のものを受け取られたのだろうと思います。

 そうやって野球界に多大な影響を与えられてくださったことに、この場を借りて心より御礼を申し上げたいと思います。

 心より、ご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました。

2)メジャー発メーカー、最先端のリアル

 前回、「バット」について書きました。打球速度やスイングスピード、そしてその軌道までもがデータになったことで、選手たちが使う「ツール」にもさまざまな変化が表れています。

 そのひとつが、「トルピードバット」(魚雷バット)なのでしょう。

平石洋介の「探球論」は、バットについて。続きを読む

 指導者としては、その背景をしっかりと理解したうえで、それを「どう生かすか」「なぜ使うか」「使う必要があるのか」という選手一人ひとりに対峙しなければいけません。

 ということで、先日「マルチ&ヴィクタススポーツジャパン」に行ってきました。とても面白かったのでこの話もまた配信しますね。

トルピードバット、試打もさせてもらいました!

 さて今回のメインテーマは「トレード」です。

3)岩嵜・リチャード・秋広・大江「シーズン中移籍」の是非

 今月12日に成立した、ソフトバンクのリチャード選手と巨人の大江竜聖選手、秋広優人選手による電撃トレードに驚かれたファンは多いのではないでしょうか。

 まずは、このトレードから分析してみたいと思います

考察「ソフトバンク、リチャード放出」の背景

 僕はとてもいいものだったと思っています。

 リッチー(リチャード)は僕がソフトバンク時代にともに戦った選手で、当時から期待していました。

 2021年に34試合で7本のホームランを打ったことからもわかる通り長打が魅力で、今年の春先にサードのレギュラーである栗原陵矢選手が故障したことでチャンスを与えられます。そして見事、8番・サードで自身プロキャリア初の開幕スタメンを勝ち取りました。

 しかし、シーズンが始まると結果を残せず、4月5日に2軍降格。

 ソフトバンクとしては、「(リッチーの)能力を高く評価している。右の大砲として魅力は十分だし期待も大きい。しかし、戦力のトータルバランスを考えた際に『我慢して使い続けよう』とまでは言えない」という状況だったと思います。

 そんな中で、巨人から強い要望があった。巨人としては、...