はじめまして。エディターの高橋香奈子と申します。今回から「母子ふたりの親子留学」を書かせていただくことになりました。

 まず始めに少し自己紹介を。私は約18年前から東京でファッション雑誌やウェブマガジン、ファッションブランドのコンテンツなどを作成するエディター兼ライターとしてフリーランスで働いてきた40代です。

 物心ついた時からおしゃれが大好きで、大人になってからはファッションに関わる仕事がしたいという思いをもち、ご縁に恵まれて、大ファンだったファッション雑誌の編集部で働けることに。

 それ以来、ずっとエディターという仕事をしていますが、この仕事は天職なのかと思うくらい毎日が楽しくて、仕事に関する不満はまったくない状態で働いてきました。これからも仕事をいただける限り、ずっと東京で、この仕事を続けていくんだろう……そんな気持ちでいました。

2022年夏に小学6年生だった息子とカナダに親子留学

 ところが、2022年の夏。私は、当時12歳だった息子を連れて、カナダのバンクーバー郊外に引っ越したのです。

 その理由はあとで語りますが、コロナでのいろんな変化も後押しして、自分の心の思うままに半ば勢いで決行。渡航を本格的に決意してから、半年後にはカナダにいました。「日本から海外に引っ越す」のは、とても大きな決断で、時間をかけて計画する必要があることかもしれませんが、私の場合はまったく違いました。

 そのため、周りの人からは「よく決断したね」「実際に行動に移せるなんて」と言ってもらうこともあるのですが、きっと、いや絶対、私ひとりなら決行できていなかったはず。“子供のため”というとても大きな理由があったから、動くことができたのだと思うのです。

 ここでは、母子ふたりの親子留学での体験や心境の変化、葛藤、不安を綴ることを通じて、私と同様、悩みながら、試行錯誤しながら子育てを頑張るママやパパたちと、“子育ての正解”を一緒に探っていけたらとてもうれしく思います。

子供の将来について深く考え直すきっかけとなった「中学受験からの撤退」

 子供を海外に留学させる決断をすることになったいちばん大きな出来事といえば、「中学受験からの撤退」でした。

 小学5年生のときに息子が「塾を辞めたい」と言ったことがきっかけで、中学受験をやめることにしました。正確な数字は分かりませんが、肌感としては約8割が中学受験をするのではないかというくらい、多くの子供たちが塾に通うような東京の都心に住んでいた私たち家族。

 息子も同級生の大半が塾に通い始めた姿を見て「ボクも塾に行きたい」と言うように。小学校4年生から個人指導塾、その後集団塾へ通い始めました。そんな環境にいたこともあって、私はなんとなく、息子は中学受験をするんだろうなと思っていたし、塾に行きたいと言われたときも、なんの疑問ももつことなく、自然と受け入れていました。

 だから「塾を辞めたい」と言われたことは晴天の霹靂。まったく予想にしていなかったことでした。

中学受験(もしくは高校受験)→大学受験、その後良い会社に入ることが子供に望むことなのか

 中学受験で中高一貫校に入れたら、その後は大学受験、そして就職して……。なんとなく思い描いていた子供の将来への道筋。ですが、中学受験から撤退したことで、そうではない道を考えなくてはならなくなりました。

 中学校は近所の公立に行って、その後高校受験する? 地方出身の私も中学受験は経験せずに、高校受験からだったから、まぁそれでもいいのか? だけれど、塾を辞めたいと言った息子が、この先、高校受験をするならまた塾に通わなければならないし、大学を目指すなら、また塾生活が続く。それでいいの? でも年齢が上がれば、中学受験のように親の伴走なしに、子供が自分で目標を見つけたら、自分の意思でがんばるようになるだろうから、そんな心配はしなくてもいいのか?

 いろんな思いが私の頭の中に巡る日々でした。

 これを機に、改めてこれまでの息子の性格や特性を考えていくと、正解のように言われている「中学受験(もしくは高校受験)→大学受験、その後良い会社に入る」ルートは、息子にとってベストな選択なのだろうか、息子の良さを伸ばすことができるのだろうか、息子にとって幸せなのだろうか……と疑問に思うように。同時に、私も息子にこの道を望んでいるかと言われれば、答えはNoでした。

周りに流されて、日々の忙しさに追われて……子供自身の魅力を見失っていた

 子供を出産してから約7ヶ月で仕事に本格復帰。その後も、いつ仕事がなくなるかもしれないという不安を抱えたフリーランスという立場だったこともあって、子育てをしながらも、仕事に本気で取り組んできた10数年間。

 子供を保育園に送ったら、満員電車に揺られ、仕事へ。延長保育の終了時間に間に合うようにどうにか帰宅して、ヘトヘトになっていた保育園時代。週に何度かは習い事への送迎も。

 子供が小学生になってからは、子供の送迎はなくなったものの、学童に夜までお世話になり、帰宅後は少しでも早く子供を早く寝かせるために日々奮闘。同じような人も多いかと思いますが、本当に毎日があっという間に過ぎていくような生活をしていた私。

 周りのみんながそうしているから、そうしなきゃいけないと思い込んでいた私。

 初めての子育てって、本当に分からないことだらけ。インターネットやSNSを覗けば、いろんな意見が渦巻いていて、「うちはこうじゃないんだけど大丈夫なのかな」と不安な気持ちになる。だけれど、だれかが「これが正解ですよ」と言ってくれるわけではない。

 だから、日々の忙しさに追われてふと立ち止まって、子供の将来についてああでもない、こうでもないと、思いを巡らせる余裕もなく、ただ周りに流されて、みんながやっているからこの道を選ぶのが良いに違いないと選択してきたこれまでの自分。

 自分の子供だけのベストな道をオーダーメイドで考えていくよりも、周りと同じような道を選んでいくことは、忙しい私にとって、きっとより簡単なことだったのかもしれません。

 子供の中学受験撤退は突然の出来事でしたが、これがきっかけでこんな自分の失敗に気づくことができたのです。

 私が見るべきは、インターネットの情報やSNSやほかの子供ではなく、息子自身だった……。子育てをしてきて10年経ち、恥ずかしながら、やっとこんな本質的なことを学びました。

 そこから息子の性格や特性を考え、海外留学という道を思いつくことになるのですが、その詳しい話は次回にお話ししたいと思います。

 最後になりましたが、ここでは単に「海外留学」を勧めるものではありません。子育てに悩む現役の親である私が、失敗しもがきながら、子供がより幸せに生きる方法を探していく話がベースになっています。

 核家族化が進み、ワンオペで子育てをすることも多い現代。子育ては想像以上に大変で、なんなら仕事よりも大変に感じることもあり、バタバタと過ぎていく毎日。子供のことは大切なのに、子供と向き合う時間や子供の将来について考える時間は意外とないものです。そんなときに、思いがけず“我が子”についてじっくり考える機会ができ、たくさんの気づきがありました。それをシェアしますので、子供が親の手を離れてしまう前に、我が子の子供が幸せになれる方法探しを一緒にしてみませんか?

 私自身、今息子と選んだ「カナダでの親子留学」が正解だったのかどうかは、数年後、子供が大人になってからしかわかりません。でも、我が子についてじっくりと考える時間は、決して無駄ではなかったと思うのです。

 全24回を予定しています。ぜひご覧いただき、何かを感じていただけたらこんなに嬉しいことはありません。

続きを読む👉第2回 】「子供と親は別人格」それを理解したら、我が子の居場所は“出る杭は打たれる”日本ではないと気がついた

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母子ふたりの親子留学
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共働きで一人息子を育てるエディターの高橋香奈子が、中学受験を目前に子どもの教育を見つめ直し、母子ふたりでカナダへ。留学費用や現地での生活費、準備すべきこと…etc. 親子留学のリアルを、オンタイムで綴ります。著者に質問ができるオンラインイベントなど、デジタルならではの特典付き!

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