新刊が運んできてくれた一期一会
少しずつ春の光を感じられるこの頃ですが、まだまだ冬の真っ只中だった先月のこと。
昨年に引き続き、大阪梅田の「NHK文化センター」さんにて、暮らしの講座をさせてもらいました。開催の日が、ちょうど新刊『心地よい居場所をつくる暮らしの愛用品』の発売日と近かったということもあり、愛用品にまつわるお話を。
講座は90分間で、まず60分ほどわたしがお話しして、最後の30分は“質問コーナー”にしているのですが、この質問コーナーがわたしは好きで。
というのも、60分間は、わたしがほぼ一方的にお話しさせていただくのですが、(でも前列の方には、かなり話しかけますけど)質問コーナーは、わたしが想像もしていないことなんかを聞かれることもあり、発見というか、新鮮な気持ちになるというか。
質問コーナーは、質疑応答というより、ご参加くださった方と“気軽におしゃべりする時間”というイメージなのです。だから大切に思っているし、とても好きな時間です。
一対一で会話するというのも、貴重で、本物の時間だなあと思うし、より、その時間を会場全体で共有できる気がして。
これこそ、自分ひとりの力では絶対にできない体験なので、その日、ご縁ある方々との一期一会の時間を、心から感じるひとときです。
でも何より、最後に「楽しかったです〜!」と笑顔で言っていただけることが一番うれしいこと。
わたし自身も、講座での楽しかった気持ちを持ち帰り、いい気分を自分の内側にストック。これからの人生への糧とさせてもらっています。
さて、前置きが長くなっちゃいましたが、この講座で愛用品の話しをさせてもらおうと、いろいろと準備をしている中で、ものへの愛も再確認。道具ってほんと可愛いですよね。
中でも、「器って好きだなあ」とあらためて感じることが多くて。というわけで、今回は、器のお話をさせていただこうと思います。それも“漆の器”について。
理屈を超えて惹かれるものがあった漆器
皆さんは、普段の食卓で漆の器を使いますか? わたしは、ご飯とお味噌汁の器が漆器なので、わりと日常の中で使うほうなのかもしれません。
漆の器がいいなあと思ったきっかけは、ホテルの朝食で使われていたことでした。
15年ほど前でしょうか、高知県の「セブンデイズホテル」という、ビジネスホテルの類なのかな? 簡素なんだけどセンスがとにかく素敵で。四国へ旅した時に「絶対にここに泊まりたい!」と選んだホテルでした。
そこでの朝食はパンやサラダとかのバイキング方式だったのですが、サラダが盛られている器が、なんと黒い漆の器だったのです。
蕎麦ちょこのような形の黒い漆器に、グリーンサラダがもうそれは見事に映えていて。その素敵さにドキドキと興奮が止まらなかったなあ。それまでの漆器のイメージをガラリと変えてくれた体験。
そこから、わたしの漆器への憧れはスタートしたのでした。...
