コロナ禍で旅行や飲食、外出など、ストレス発散にも制限がかかる中、心の不調を訴える人も増えている。今こそ必要なのは、自分で自分の心の調子を整え、いつでも幸せを感じられる様にメンテナンスすること。とはいえ、なかなか学ぶ機会のない「心の扱い方」。じつは、ヨガの世界では何千年も前から語りつがれているという。
 そこで、瞑想・ヨガインストラクターの椎名慶子先生に、さまざまな悩みやネガディブな気持ちに対応するヨガの智慧や瞑想法を教えていただきました。第5回は仕事のやる気が出ない時。

椎名慶子
瞑想・ヨーガ・
シータヒーリング ®️・ベビーサイン講師
ウタール ヨーガ・ヒーリングスクール主宰

NYにて全米ヨガアライアンスを取得後、アメリカ、日本、インドにて瞑想やヨーガ哲学、マントラなどを専門的に学び、ホットヨガスタジオLAVAの創業インストラクターとして数々の人気プログラムを開発。1000名を越えるヨーガインストラクター教育を担う。現在は瞑想を主にしたウタール ヨーガ・ヒーリングスクールの主宰を務め、「一人ひとりがハッピーに生きること」をテーマに活動している。

Uttal yoga & healing school https://uttals.com/

 

適度な食事量とリラックスがやる気を高める鍵

 こんにちは。瞑想・ヨガインストラクターの椎名慶子です。

「心の扱い方〜ヨガと瞑想に学ぶセルフメンタルケア」として、自分で自分のココロに向き合い、不安や苛立ち、悲しみなどに気づき、手放すことで穏やかな気持ちを取り戻していく、セルフメンテナンスの方法をお伝えしたいと思います。

 第5回のテーマは、「仕事のやる気が出ない、集中できない」時。

Ponomariova_Maria/iStock / Getty Images Plus/Getty Images

 やる気が出ない原因は、いくつかあります。ひとつは「怠惰さ・けだるさ」。この場合には、食事を見直す必要があります。

 食事を食べすぎてはいませんか?
お腹は空いていないのに、口さみしくて甘いものを食べたり、ストレス発散のた めにたくさん食べていたりしていませんか?

 体の中に未消化の食べ物が残っている状態が続くと、心身共にだるくなり、重くなり、やる気が起こらなくなります。

 そんな時、1回の食事の量は、新鮮で消化に良いものを自分の両手で球体を作り、その中に入る分くらいを目安にしましょう。それが自分の食べる量の目安です。また、適度に体を動かすことでもだるさを取り払うことができます。

 もう一つの原因は疲れ。自分の中で、対立が起こっていませんか?

「私はこれをやり遂げなくてはならない」と思う一方で「本当はやりたくない」と思っていたり、「私は期待に応えたい」と思う一方で、「もう期待に応えるのはつらい」と思っていたり。

 こういった、自分の中での対立を続けていると、ひとつのことを成し遂げるだけでも、自分の中で一方の自分を説得したり、抵抗したりしながら進めなければならないので、大変なエネルギーを消費して疲れ果ててしまいます。

 この場合には、姿勢を正し、ゆったりとした深い呼吸をすることをお勧めします。頭と心にクリアな状態が戻り、自然と自分の中の対立が消えて想いがひとつにまとまり、疲れが取れます。

 私たちが生きている世界では、体と心は反対の法則によって機能しています。

 身体の面、物理的な面では、練習や努力が多ければ多いほど良い結果をもたらしますが、心の面、精神的・創造的な面では、努力や緊張感を手放し、リラックスした時に素晴らしいアイディアが飛び出します。

 そして、創造的なアイディアと物理的な行動をバランスよく結びつけることが、あなたの生まれ持った才能を仕事により活かすことにつながります。

 それでは、自分の中にエネルギーを生み出し、集中力の高い状態を作り出す呼吸法と瞑想をご紹介します。

 音声ガイドを聴きながら、ぜひ実践してみてください。

音声ガイド 04:08〜

【仕事のやる気や集中力を高める呼吸法&瞑想】

①バストリカー:ふいご呼吸法 (20回×2セット)
 体の中に空気を取り込み、肉体的・精神的レベルで熱を生み出し、エネルギーに満ちた集中力の高い状態を作ります。

・楽な姿勢で背筋を伸ばして座り、目を閉じます。(椅子に座っても、床に座ってもOK)
・鼻から「フッ」と強く息を吐き、息を吐くときにはお腹をへこませます。
・息を吸う時は、自然と鼻から空気が入ってくるような感じです。力みすぎずにリズミカルに行うようにしてください(ペースの目安は2秒に1回程度)。
・20回ほど繰り返したら鼻から深く息を吸って、ゆっくりと息を吐き、自然な呼吸に戻し、30秒~1分ほど休みます。

・2セット行います。

※無理をせず、心地よく感じられるペースで行ってください。

②観察の瞑想
 バストリカーの後に起こる自分の中の変化を観察し、楽しみます。
・深いリラックスの中で「自分にはできない」という思いを、大切なものを世界に返すような気持ちで手放すイメージをします。
・心の中で「創造的なアイディアが湧き上がるように」と宣言し、くつろいだ気分のまま自分の中で起こることを観察します。

・区切りの良いところで深呼吸をして、普通の呼吸に戻り、ゆっくりと目を開いて瞑想を終わりにします。

 ※瞑想は、1日1回、毎日やることをおすすめしています。歯磨きのように、やる時間を決めて、毎日の習慣にするのが継続するコツです。