メジャーリーグのプレーオフシーズンがやってきた。ア・リーグ、ナ・リーグからそれぞれ6球団ずつが進出し、約1か月にわたってワールドシリーズ優勝を目指す。

 今回は日本人選手も多く勝ち残り、世界一を目指す。注目を集めるロサンゼルス・ドジャースから大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希を筆頭に、シカゴ・カブスの鈴木誠也、今永昇太、ボストン・レッドソックスの吉田正尚、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有、松井裕樹と楽しみなメンバーがずらりと並ぶ。

 そこに加えて注目なのが、トロント・ブルージェイズの加藤豪将だ。大谷、鈴木と同世代の加藤は、メジャードラフトでニューヨーク・ヤンキースから2巡目に指名され(1巡指名はアーロン・ジャッジである)、メジャーリーガーへの挑戦権を得ると、その後、トロント・ブルージェイズでメジャーデビュー。2023年には日本ハムファイターズでプレーした。

 2024年オフに電撃引退したのち、今年からトロント・ブルージェイズの分析官として戦ってきた。

 昨シーズン、ア・リーグ東地区最下位だったブルージェイズは、ヤンキース、レッドソックスらを制して1位でフィニッシュ。ポストシーズン進出を果たしている。

 そんな加藤が務める「分析官」とはどんな仕事か? データを駆使しながらどうチーム、選手に落とし込むのか。そして日本との違いとは――?

メジャーリーグ、分析官試合前の準備は?

――今、加藤さんがやられている「分析官」という仕事の内容について、詳しく教えてください。

加藤 僕はメジャーリーグ・オペレーションズ、(訳せば)「メジャー運営」なので、それだけ聞くと、何をやっているか分からないと思うんですけど(笑)、今は本当に全部(の分析の仕事をする)っていう感じで、 先乗りスコアラーみたいな分析もしますし、今、メジャーにいる選手の分析や、自チーム(ブルージェイズ)の選手の分析もします。

 あとは3Aにいる選手の分析をして、今、どういう選手をメジャーに上げた方がいいかという検討、そしてもちろん「今のブルージェイズをどうやってワールドシリーズチャンピオンにするか」ということも考えなければいけない。

 ざっくり言うと、それを全部やってるっていう感じですね。

――本当に全部なんですね。

加藤 そうですね。全部楽しいんですけど。

 今までずっと、選手だったときに、いろんなリサーチをしたくて、なかなかそれをする時間も、テクノロジーもなかったので。今はブルージェイズのデータベースに普通に入れて、それを見られるので、自分的に野球ってどうやって変わってるのかっていう分析もいろいろしているんです。

 だから、やりたいことをやれてる実感がありますね。

――具体的に、ゲームがある日の「分析官」の仕事の流れを教えてください。

加藤 ゲームは19時開始が多いので、その場合、朝の10時ぐらいにスタジアムへ行きますね。 10時に行って、まず筋トレをします。

――筋トレはされるのですね(笑)。

加藤 はい(笑)。筋トレをしながら、コーチもいっぱいいるので、そこで今日の試合のことを話したり、昨日の試合のことを話したりします。

――なるほど。

加藤 お昼ぐらいにその日の試合の準備をし始めるんですけど、それが3時間ぐらいかかります。

 そこからスタッフミーティングがあって、その日の試合の作戦を話をする。そのまま野手ミーティングへ行って、それも今日の作戦、相手ピッチャーの話だったり、相手の守備だったりみたいな感じですね。それが16時ぐらいまでかかるので、そこから僕の場合は練習に行って手伝っています。

 練習後はもう次のシリーズの準備をする。

 だから練習が終わったらその日の「試合の準備」は終わっています。次の日、次のカードの準備ですね。 例えばその日がタンパベイ・レイズ戦だったら、試合前の練習が終わったときから、次の(例えば)デトロイト戦の準備もし始める、という感じです。

 

試合中注目している3つのポイント...