
はじめまして。arikoと申します。
大学を卒業以来、出版社でファッション誌の編集という仕事を生業にしていた私がいつの間にか料理に携わる仕事をするようになってしまいました。
小さな頃から食べること、作ることが大好きで、自他ともに認める食いしん坊。仕事の傍らで始めたインスタグラムで何の気なく始めた日々の食卓のあれこれをポストしていくうちに、いつの間にかフォロワーが増え、そうこうしているうちにレシピ本を出版しないかという思いもよらない話が持ち上がりました。
普段から裏方作業をしている私が名前を出してレシピ本を出版するなんてと尻込みしていたのですが、こんなことは一生のうちにはなかなかないことだよと背中を押してもらい、そうだよな、こんな光栄なことはないよなと思い切って、自分のインスタグラムを紙で見てもらうというスタイルで初めてのレシピ本を出版することになりました。
せっかく本を作るチャンスをもらったのだから、これまで出回っているものとは違う自分らしい切り口で食を紹介したいと思い、インスタグラムでポストした自分で撮った写真に、レシピはもちろん、添える文章も全て自分で担当するというちょっと風変わりな本が完成しました。

レシピといっても難しいものはなく、詳しい分量がなくても作れるようなものが多く、四季の出来事や家族とのやりとりなど、食日記のような気分で綴った内容が面白いと思ってもらえたのか、なぜか人気を呼び、いつの間にか四冊もの続編を出すことができました。
その後もレシピを紹介したり、そのうち料理を教えて欲しいという仕事が舞い込むようになり、ファッション誌の編集と食の仕事の二刀流生活が始まりました。

平日は本業の撮影や締め切りに追われ、仕事のない週末に食の撮影を詰め込むという日々を過ごしているうちに、いつのまにか本業の仕事よりも食の仕事のウェイトが逆転するようになり、気がつけば出版したレシピ本は15冊にも……。
体力的にもダブルワークに限界を感じて、思い切って料理だけに向き合うことを選び、現在は料理家として活動しています。簡単ですが自己紹介はここまで。
子どもの頃から培った「おいしい」をおすそわけ
そんな私が改めて、おいしいと思うことや思い出の味、キッチンで欠かせないもの、お取り寄せなど、食にまつわるあれこれをご紹介する連載を始めさせていただくことになりました。
思えば、小さな頃から食に対する興味が人一倍強く、子どもの頃の思い出も笑えるほど、すべて食にまつわることばかり……。

午前中で学校が終わる土曜日のお昼にホットプレートで焼いたホットケーキの甘い匂い、初めてオーブントースターで焼いたトーストのバターの溶ける匂い、家族で出かけた洋食屋さんの土鍋の中でぐつぐつと煮立つビーフシチューのドミグラスソースのコックリとした味、今よりもずっと異国情緒あふれていたような気がする中華街の行きつけのお店で食べるエビチリやトンポーローなど、食の記憶は必ず、味と匂いがセットで刻まれており、今でも鮮やかに思い返すことができるほど。
また、料理上手だった母と一緒にキッチンに立つ時間も何より楽しい時間でした。外で遊んでいても出汁の匂いが漂う夕刻になると台所にとんで帰り、晩ごはんの手伝いをするのが日常でした。
胡麻をするすり鉢の下には濡れ布巾を敷いて動かないようにするとすりやすいとか、おひたしにかける鰹節はカンナのような削り器で必ず使うたびに削りたてを作るとか、布巾は雫が一滴も垂れないようにしっかりギュッと絞りきるとか、子どもの頃に仕込まれた台所仕事の基本は今でも私の常識、目をつぶっていても自然に手が動きます。
夕刻の慌ただしい時間の中、自分でしたほうがずっと早いのに、焦らせず、子どもにやらせてくれた母に感謝しています。

趣味の読書も食にまつわるものがやっぱり好きで、好んで読んでいたのは食べ物が出てくるもの。愛読書だった「大草原の小さな家」の中に出てくるメープルシロップで作るねじりん棒キャンディやスコーン、コーンブレッドなどがどんな味がするのかワクワクしながら夢中で読んでいたのを思い出します。
クリスマスプレゼントも子供用の料理本をリクエストしていましたっけ。本を見ながら作ったカスタードプリンのカラメルが指に飛んで、今でもうっすら残る火傷の跡は名誉の負傷(笑)になっています。
向田邦子や池波正太郎の小説ももちろん好きだけれど、何度も読み返すのは実は食のエッセイだったりします。気軽に読める食のエッセイは旅の時のお供にも欠かせないもの。移動中の飛行機や新幹線の中で、旅先のプールサイドや宿のベッドでと楽しんできました。
このように常に頭の中は食べることでいっぱい(笑)。自分でも呆れるほど食い意地が張っている私ですが、食べることは楽しく生きることの源、おせっかい気味にこれまで培ってきた私がおいしいと思うこと、食にまつわるあれこれをシェアさせていただけたらと思います。
皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。
ariko
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