金曜日はニューヨークからお届けします。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
さて、昨年のことなのですが、小説家のポール・オースター氏が死去しました。ポール・オースターは、ニューヨーク・ブルックリンで育ち、コロンビア大学を卒業したのちに作家生活をスタート。
アメリカの作家といえば、学生の頃からカート・ヴォネガットと、ポール・オースターを愛読していたので、寂しい気持ちになります。
ニューヨークシティが舞台になっている作品も多く、こちらにいる間に再読しようと思い、気に入っている一冊である『Moon Palace』(邦題:ムーンパレス)を読み返しました。
主人公は作者と同じコロンビア大学の学生で、あることをきっかけに自暴自棄になり、働く気も起きず、家賃を滞納。家を追い出されたすえに、ホームレスになります。そのホームレス生活は、セントラルパークで野宿しているところを友人に発見されることで終わります。
初めてこの本を読んだときには、主人公があてもなくニューヨークを彷徨う描写をなんとなく読み流していたのですが、いま読み返すと場所や、その距離感が実感としてわかります。コロンビア大学のキャンパスには通っていたこともあり、学生の友人もいたり、家の近所が出てきたりなど、当時とは違った感覚で楽しんで読めました。
複雑に伏線が張り巡らされた傑作なので、機会があれば読んでみてください。
編集・雪