今期の超話題作「じゃあ、あんたが作ってみろよ」が傑作すぎるので紹介させてください。
周囲がこぞって観ていて、何かと物議も醸している作品だったため軽い気持ちで観始めたのですが、普段ドラマを観ない私まで思わずハマってしまいました。
物語は、同棲中の社会人カップル・勝男と鮎美の破局から始まります。勝男は、鮎美が手間ひまかけて作った料理に「茶色が多いね」などと言ってしまったり、「料理は女がするもの」という価値観に縛られていたり、いわゆる“昭和的”な亭主関白ぶりが過ぎて、鮎美に振られてしまうのです。
「さすがに今どきこんな人いる?」と思いましたが、この彼氏像に世の中から共感が集まっている様子を見ると、実はまだまだあるあるなのだと感じさせられます。
物語が進むにつれて、勝男は自分を見つめ直し、料理に挑戦したり、一からだしを取ってみたりと、凝り固まった価値観を少しずつアップデートしていきます。昭和気質の彼が素直に非を認め、変わろうと努力する姿が回を追うごとに愛おしくなるのです。
このドラマの魅力は、単に男尊女卑構造を描いているからではありません。変わりたいと願ったひとりの人間が、行動し続けることで変化していく成長物語として心をつかまれるのです。
自分の「当たり前」が当たり前ではないと気づいたとき、どう行動するか。価値観が大きく変わっていった令和で、自分を変えるヒントが詰まった作品だと感じました。
私も次は、いつもより少し手の込んだ料理を作ってみようと思います。
編集・竹内
