折茂武彦(おりも・たけひこ)B.LEAGUE(B1)レバンガ北海道の代表取締役社長。1993年にトヨタ自動車(現アルバルク東京)でキャリアをスタートし、2007年にレラカムイ北海道へ移籍、その後経営難によりチーム消滅。2011年にレバンガ北海道を創設し、選手兼代表を務める。2019−20シーズンで引退した。190センチ77キロ。(写真:花井智子)

 B1リーグレバンガ北海道の創設者であり社長としてもバスケットボール界を牽引し続けた折茂武彦。

 バスケットボールは日本で今後もっとも成長が期待できるプロスポーツの一つだろう。世界でもっとも競技人口の多いことだけでもその理由の一端は垣間見れる。

 事実、Bリーグも着実に前進し、買収によって大きな資本を手にするクラブも増えた。Bリーグでも観客動員が多いチームの一つ、レバンガ北海道はどうだろう?

 社長であり2019−20シーズンまで選手でもあった折茂武彦。昨年10月に上梓し話題となった初の著者99%が後悔でも。より紹介する。

注目が集まるプロバスケチーム

 近年、BリーグのチームのM&A(合併・買収)が増えている。

 2018年には、広島ドラゴンフライズが英会話教室でお馴染みの「NOVAホールディングス株式会社」に株式を譲渡し、その子会社となった。2019年には、Bリーグ屈指の人気チーム、千葉ジェッツがIT大手「株式会社ミクシィ」の傘下に入った。

 いま、バスケットボールは〝買い時〟なのかもしれない。

 野球やサッカーと違い、買収にかかる金額は〝お手頃〟だし、これから伸びていく可能性も大いに秘めているスポーツだ。

 Bリーグとって、これはとても良い流れだ。大きな資本が入れば、チームの運営資金は潤沢になり、選手にも多くの給料が支払われることになる。これまでにはできなかったような施策も打てるようになるだろう。

 事実、千葉ジェッツは、ミクシィのグループ子会社になることで、1万人規模のアリーナの建設にこぎつけた。

 画期的だと思った。リーグの活性化にも強く寄与していくだろう。

 では、レバンガ北海道に同じような話が来たらどうするか。

レバンガ北海道は絶対に「売らない」

 それは、わたしたちが投資に値するという評価であるから、ひとつの成功だ。

 それでも、わたしは簡単には売らないだろう。

 それがいくら大きな金額であっても、だ。

 このチームには歴史がある。

「北海道」に支えられて存続してきたという歴史だ。

 母体となる企業を持たずに立ち上がった。消滅という悲劇も経験した。それでも「いま」があるのは、本書で何度も書いてきたように、地域の企業、そして「人」と「思い」が支えてくれたからに他ならない。

 つまりそれは、レバンガが「道民のみんなのチーム」であることも表している。誰のものでも、どこの会社のものでもないのだ。

『北海道から「人」に「社会」に感動を届け、世の中を笑顔にする。』という企業理念は、そのためにある。

 何より、これからわたしたちは、恩返しをしていかなければならない。

 レバンガ北海道の立ち上げから9年間、ずっと助けられてきた。「北海道」に〝おんぶに抱っこ〟だった。これは絶対に「返す」。最後まで責任を持ってやり抜く。

 まずは、勝つこと。大資本が入ることで、チーム間の〝格差〟は広がっていくかもしれないが、そこで勝つ方法を見つけ出すことが、わたしの大きな仕事になる。

 勝つことは、チームの価値を上げることに繋がり、スポンサードしてくれている企業への恩返しに直結する。ブースターも喜んでくれるだろう。北海道が一丸となって大きなチームを倒す。これほど面白いことはない。

 M&Aという大きな波が起きている中でも、いままで以上に地域に密着し、クラブを成長させていく。この決意に揺るぎはない。

 どちらが正しいという話ではない。繰り返しになるが、リーグとしては歓迎すべき流れだ。

折茂武彦・著「99%が後悔でも。」

 しかし、わたしには貫くべきことがある。

「北海道から明日のガンバレを。」

 行動で示していく。これからのわたしを見てもらえれば、わたしのレバンガへの、そして北海道への「思い」「覚悟」「情熱」が本物であることを信じてもらえるはずだ。

「北海道」と共に歩んできたレバンガだからこそ、できることがある。こうした他のチームとの切磋琢磨が、日本のバスケットボールをより高みへと導いていくだろう。

 Bリーグをもっともっとメジャーに。「夢」や「思い」はまだまだある。

99%が後悔でも。折茂武彦・著より再構成)