おいしい経済

出版社:株式会社JBpress

定価:1870円

発売日:2021.12.10

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楠本修二郎カフェ・カンパニー株式会社代表取締役社長
サスティナブルも経済成長も、あきらめない。

おいしい経済

世界の転換期 2050年への新・⽇本型ビジョン

「おいしい」をアップデートしてつくる2050年

 ニューヨーク・マンハッタンの星つきレストラン「ブルーヒル」。オバマ元大統領ら美食家が集うその店のエグゼクティブ・シェフだったダン・バーバーは、あるとき「フォアグラ」を辞めた。

 環境破壊や人口増加、食品ロスといった世界規模の課題が浮き彫りになった現代は、未来のために“いま何をすべきか”が議論の中心になる。そこで課題になるのが、持続可能性と経済成長の相性だ。加えて日本においては少子高齢化、人口減少(労働力人口の減少)の問題も大きい。

 果たしてこの二つは両立できるのか――。

 「WIRED CAFE」を筆頭にカフェブームをけん引してきたカフェ・カンパニーの代表取締役社長である楠本修二郎は、そのヒントを「日本の食――おいしい」に見ている。「日本の食は、世界に尊敬されている。その理由は、味がおいしいからだけではない。環境に配慮され、健康的で、何より日本のもつ潜在能力が存分に発揮されているからだ」

「日本の食をつうじて、失われた30年と言われたビジョンなき時代から、豊かな30年後・2050年に向けたビジョンをつくるべきときがきている。そのとき、“おいしい”をアップデートすることでもたらされる『新しい経済』こそが、持続可能で経済成長をもたらす切り札となる」

 34の具体的事例から紐解く、日本と世界の現在地。そこから見える、日本が持つ大きな可能性と、新しい価値。「おいしい経済」で豊かな未来(2050年)をつくるための意欲的提言の書。

はじめに〜2050年を読み解くヒントは「食」にある

パンデミック後の日本はどうなる?
コロナ禍で見えた、各国の文化の捉え方
日本は次の30年をまた「失う」のか
わたしたちは「世界一おいしい国」に生きている
「おいしい未来戦略」で日本の未来を描こう

第1章2050年の世界と日本

食からみるファクトフルネス

失われた30年はなぜ訪れたのか
数字から未来を予測してみる
日本の少子高齢化と経済鈍化
過疎化と世代間の「縦の分断」
世界の人口爆発が引き起こす資源不足
地球7.4個分を消費する国
食糧不足と食品ロス
世界に遅れる「賞味期限」と「添加物」
食べることと環境負荷の関係
動き出す世界の「食」

「持続可能かどうか」がこれからの価値

広告より社会課題の時代
時代の転換に合わせて「おいしい」の意味を更新しよう
おいしくない、でも大人気
「おいしい」はひとつじゃない
食が多様性の受け皿になる
おばあちゃんのおむすびが三つ星になる

第2章日本の強みは 「世界一おいしい国」であること

海外から関心を集める日本の食

「楠本くん、これは産業革命以来の一大事だよ」
世界一のレストランが来日した理由
環境負荷の低い日本食
世界に誇る調味技術

なぜ日本が「世界一おいしい国」になったのか

1.地球の縮図のような多様な地形
2.食に感謝する精神性
3.優 れ た 製 鉄 技 術
4.発 酵
5.黒潮文化と聖徳太子
日本各地で育まれた「おいしい生態系」

「 お い し い 」が 生 か さ れ て い な い 国・日 本

産業界の「横の分断」
社会のターニングポイントには食の革新がある
外食チェーンがもたらしたものは?
今こそ経済の意味を変えるとき

第3章世界は「おいしい」を どう生かしているのか

社会課題を解決する手段としての食

戦 略 事 例 1.人類の生き残り戦略「フードテック」
破壊的イノベーションは瞬間的に起こる
フ ー ド テ ッ ク か ら「 イ ー ト テ ッ ク 」へ
戦略事例 2.アメリカの先進的取り組み
戦略事例 3.美食の街として成功したバスク
戦略事例 4.ア ジ ア の「 戦 略 基 地 」
戦略事例 5.ハ ワ イ 発 の 料 理 大 学
戦略事例 6.お い し い を 更 新 し た「 北 欧 10カ 条 」
戦略事例 7.過疎化を食で解決したイタリア
戦略事例 8.「コ ミ ュ ニ テ ィ 」 戦 略
日本発「おいしい」経済圏をつくる

第4章おいしい未来戦略 ──食は課題解決型成長戦略だ

技術と伝統の融和で 日本の食が世界を変える

過疎地を資産に変えよう
モ デ ル は「 藩 」の コ ミ ュ ニ テ ィ
「 藩 」と『 ノ ー マ 』
人のいない日本でどう生きる?

里 山 の「 循 環( リ ズ ム )」を ア ッ プ デ ー ト す る

日 本 の リ ズ ム・里 山
里山を日本の強みに昇華させる
里山をアップデートしよう

知財化で経済基盤をつくる

匠の技の知財化は、技術の流出ではない
食から日本をアップデートする
①食産業の流動化と再構築
②日本資産の縦の継承
③「食のデータ化」と「オーケストレーション」を武器にする
「おいしい技」×「テクノロジー」で未来の日本をイメージしよう

2050年の日本を「おいしいシリコンバレー」に

日本の工業技術で食を進化させる
日本発の世界的イノベーション
日本の危機がイノベーションの前兆
ドイツの職人技を日本のAIが知財化
欧米のシーズとアジアのニーズ
つまり、日本ができる世界への貢献は......
消費都市の次は、どこへ?
「日本のおいしい経済を実現する10の指針」を発信しよう

第5章2050年の世界をつくる君へ

今までの「あたりまえ」は通用しない
答えなき世界の答えは、君たちがつくる
人口2000万人でも豊かな日本をつくる
食が世界一クリエイティブな仕事に
日本の「おいしい」を集める『GOOD EAT CLUB』
ここは未来への「問い」をつくる場所
所属も立場も越えて
30年後君と、再びこの場所で会いたい

おわりに

巻末資料

初版本に一部誤りと、表現があいまいな部分がございました。以下にて訂正および、ご案内させていただきます。読者のみなさま、関係者の方々にはご迷惑をおかけいたしまして申し訳ございません。
頁数 訂正前(初版) 訂正後

38頁

(図6へキャプションを追加)

 

The Lance「t Top ten countries by population in 2017&2100」の発表によると2100年の日本の人口は6000万人と推計されているが、本書は「国立社会保障・人口問題研究所」による推計、約4800万人で統一している。

65頁
66頁
(赤字の文章の入る位置が間違っております)

~料理人の経験や感覚によるところが大きかった調理や味の表現を、分子レベルで解析するその手法は食のプロフェッショナルたちにとっても衝撃的でした。
 帰りの飛行機が一緒になった料理評論家の服部幸應さんが「楠本くん、これは産業革命以来の一大事だよ」と話していたのが忘れられません。
 そんな国際的なイベントで、『日本の味と文化』がテーマとなったのが2010年のことです。これはとてもすごいことで、当時まで開催された全13回のうち、WOFが1カ国の料理を取り上げたのは前述のスペインに次いで2度目。世界でたった2つの国だけなのです。
 つまりこれは、料理の常識を変えた分子ガストロノミーと同様の世界的な注目が日本食に集まっていることを示していました。

~料理人の経験や感覚によるところが大きかった調理や味の表現を、分子レベルで解析するその手法は食のプロフェッショナルたちにとっても衝撃的でした。
 そんな国際的なイベントで、『日本の味と文化』がテーマとなったのが2010年のことです。これはとてもすごいことで、当時まで開催された全13回のうち、WOFが1カ国の料理を取り上げたのは前述のスペインに次いで2度目。世界でたった2つの国だけなのです。
 帰りの飛行機が一緒になった料理評論家の服部幸應さんが「楠本くん、これは産業革命以来の一大事だよ」と話していたのが忘れられません。
 つまりこれは、料理の常識を変えた分子ガストロノミーと同様の世界的な注目が日本食に集まっていることを示していました。

74頁 また、リアス式海岸を含めた海岸線の長さは世界6位で、海底には6000メートル級の海溝も。 また、リアス式海岸を含めた海岸線の長さ、及び、排他的経済水域は世界6位で、海底には6000メートル級の海溝も。

 

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