W杯グループリーグで日本代表が対戦するのは、オランダ、チュニジア、スウェーデンの3か国だ。初戦のオランダ戦は「引き分け以上を確実に取ること」が至上命令であり、クーマン監督率いるオランダがFIFAランキングトップ20圏内の相手に対して一度も勝てていないという事実は、日本にとってポジティブデータとなるか? スポーツライターのミムラユウスケ氏が、3試合それぞれの戦略と注目ポイントの解説、さらには「3試合スコア予想」も紹介する。
ミムラユウスケ「森保ジャパンW杯観戦術」
【動画2】W杯グループリーグ完全展望
【INDEX】
オランダ戦展望──突破を左右する初戦
チュニジア戦展望──勝点3へのポイント
スウェーデン戦展望──突破を懸けた最終戦
ミムラユウスケが予想するグループリーグ全結果
※収録は2026年6月5日。
動画時間(51分08分)
「初戦で負けると、あとの2試合は全て勝ち続けなければならない」
――まずオランダ戦の重要性について教えてください。
ミムラユウスケ:初戦にピークを合わせるという話をしていますから、最低でも勝ち点1以上を取るということですよね。今回はグループ4カ国中3カ国まで決勝トーナメント出場の可能性があるので、状況は以前と少し違います。ただ、もし初戦で負けてしまうと、あとの2試合はかなりフルでやらなければならなくなります。ビハインドを抱えた状況で無理をするし、余計なパワーも使う。ワールドカップ優勝という大きな目標を考えたとき、それは結構大変なことになりますよね。だから優勝をマネジメントするなら、引き分け以上をきっちり取ることが大事だと思っています。
実際、ワールドカップの歴史で初戦に負けたチームがグループリーグを突破できたのは11パーセントにとどまっています。数字が物語るように、初戦の結果は非常に重い。
――そのオランダというチーム、どう見ていますか。
ミムラユウスケ:個の成長という意味では素晴らしくて、カタールワールドカップのときにプレミアリーグでプレーしている選手が三人しかいなかったオランダ代表が、今は26人中15人もいるんですよ。それなのに、クーマン第二期となってからFIFAランキングトップ10との試合で2分け7敗、トップ20との試合でも2分け9敗と全然勝てていない。これはどう見てもチームの力を出しきれていない状況で、クーマン監督が選手たちのポテンシャルを生かしきれていないということが単純に言えます。組織としての機能性という意味では、日本のほうが上ですね。ただ、個の能力や経験値という点ではプレミアリーグに今のメンバーで言えば鎌田選手と田中碧選手の2人しかいませんから、そこの差はあります。
「オランダのキーマンはダンフリース——分かっていても止めるのは簡単ではない」
ーーオランダのシステムについて解説していただけますか。
ミムラユウスケ:オランダは4-3-3というフォーメーションで語られることが多いですが、守備時は4-4-2のようなブロックを作り、ボール保持時には3-4-3に近い形へ可変します。ダンフリースが右ウイングのような高い位置に張り出して、ティンバー、ファンダイク、ファンデフェンがスリーバックになる。フラーフェンベルフとデヨンクがボランチ的な位置に入って、ラインデルスとマーレンがツートップ気味になり、ガクポとダンフリースが張るという形です。
この可変システムには弱点もあって、攻撃から守備へ切り替わるいわゆるネガティブトランジションの局面でどうしても対応が遅れる。攻撃時に配置が少しずれているぶん、守備に移ったときのもろさが生まれる。日本としてはそこを狙っていきたいですね。
――では日本のキーマンは誰になりますか。
ミムラユウスケ:久保選手じゃないですかね。ある程度押し込まれると思うので、その状況から長い距離をボールを持って前に運んでゴールに絡むというところが重要になる。上田選手にゴールを決めてもらい、最後の最後では味方のためにパスコースやシュートコースを作るということもできる。前線の3人がキーマンだと思います。
――オランダで最も警戒すべき選手は誰ですか。
ミムラユウスケ:やっぱりダンフリースじゃないですか。身長188センチですが、体幹の強さやヘディングのうまさだけで言えば195センチぐらいの感覚がある選手です。彼が上げるクロスもそうですが、左サイドからのクロスに彼が合わせてくるときにきちんとついていけるかどうかが最大の鍵になります。分かっていても止められないというのが怖いところで、クーマン第二期でスタメンでプレーしなかった直近7試合の成績を見ると1勝4分け2敗とガクッと下がるんですよ。それだけ彼がチームの鍵を握っています。今シーズンのチャンピオンズリーグでもプラハがインテル戦で、右ウイングバックの橋岡選手をあえて左ウイングバックで起用してダンフリース対策に使ったシーンがありましたが、それでも得点を決められてしまいました。
――戦い方のイメージとしては、過去のどの試合に近いですか。
ミムラユウスケ:ブラジル戦ではなくイングランド戦に近いんじゃないですか。ある程度もたれるのを覚悟して戦う形ですね。ブラジル戦の前半は引きすぎてしまいましたし、後半は2点を追いかけてハイプレスを高めるという形になった。ブラジル戦の前半ほどやられずに、イングランド戦の前半のような形が出せるのがベストです。あるいは2023年のドイツ戦の後半、4-1で勝った試合の終盤に2点をカウンターで決めたような戦い方がいいんじゃないかと思っています。
ゼロゼロのまま最終盤まで行ったとしても、悲観するような展開ではないかなと思います。お互いにとってこの初戦の相手がグループリーグで最も厄介なチームであることは間違いないので。日本としては「まずゼロ失点で終わる」ことが最大のミッションです。
「チュニジアは恐るに足らず——ただ第2戦の罠には注意が必要」
――第2戦のチュニジアはどう見ていますか。...
