(2025年3月)バーレーン戦前日の記者会見で、ある質問が投げかけられた。「アジアでの戦い方と世界に出てからの戦い方が変わることを意識した上で最終予選に臨めているのが大きい」——ミムラユウスケ氏は森保一監督がDAZNのインタビューでそう語っていた情報をキャッチ。「どのような意図なのか?」と質問したのだが、指揮官の回答から浮かび上がったのは、ワールドカップ本大会を見据えた、思いのほか緻密な「設計図」だった。

【テーマ】
ミムラユウスケ「森保ジャパンW杯観戦術」
【動画12】指揮官の言葉で振り返る「森保ジャパン8years」(2)

【INDEX】
・ワールドカップ本大会を見据えた上での現在の戦い方の選択
・3バックはオプション。本大会のメインのシステムではない
・森保監督、欧州への移住はキャンセル
・アトレチコ・マドリー的サッカーの導入の可能性
動画時間(7分55分)

「アジアでは握れる、世界では握れない」という根本認識

――ピックアップコメントとして、森保監督の発言を取り上げたいとのことでしたね。

ミムラユウスケ:はい。バーレーン戦の前日の記者会見で聞いた話なんですけど、その直前にDAZNの佐藤寿人さんのインタビューで森保監督が語っていたことがすごく興味深かったんです。「アジアでの戦いと世界に出てからの戦い方が変わることを意識した上で最終予選に臨めているのが大きい」という発言で。これって監督の最終予選に臨む心構えを理解するために重要な意味があると思ったので、試合前日にもかかわらずそのタイミングで聞かせてくださいと質問したんです。

――実際、監督はどんな答えを返してきましたか?

ミムラユウスケ:ざっくり言うと、攻撃的にでも守備的にでもいろんな戦い方ができるのが理想で、それはアジアでも世界でも根幹は変わらないと。ただ、現実の戦いでは、アジアではよりボールを握る時間が多く持てる。世界の強豪と戦うときには我々がボールを保持できる時間が短くなる、という戦いの違いが出てくる、ということをおっしゃっていて。で、前回の最終予選ではそういう判断ができなかった、とも言っていました。

ーーなるほど。かなり冷静に自分たちの立ち位置を把握してるんですね。

ミムラユウスケ:そうなんですよ。だから、ワールドカップ本大会を見据えた上での現在の戦い方の選択だということが、その言葉からはっきり見えてくる。

 

3バックはあくまで「オプション」——コスタリカの反省が原点にある

――最終予選で使った3バックについては、本大会でもメインになっていくんでしょうか。

ミムラユウスケ:それについても今回の記者会見でかなり明確になりました。3バックはあくまでオプションで、日本が絶対に勝ちを取らないといけない相手への限定的な対策として使う、あるいは点を取りに行かないといけない劣勢のときに使う、かなり限定的なものになるということが分かりました。本大会でメインの手段にはならないだろうな、というのが森保監督のコメントから読み取れることです。

――それはどうしてそう言い切れるんでしょう?

ミムラユウスケ:名波コーチが就任最初に言っていたことがヒントになるんですよ。コスタリカ戦で真ん中を使えずに外回しだけになって、怖い攻撃ができていなかったというのが名波コーチがこのチームに植え付けたい問題意識の原点にあるんです。「またああいう戦いになったときどうするか」というのはチームとしても、森保監督の中にも必ずあったはずで。だから今回の3バック採用はそのコスタリカの反省と直結している、という見立てです。...